「今が一番楽しめてる」大人になった岩渕真奈が抱く“充実感”

2018年04月22日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「もっとやらなきゃいけないなと実感した大会でした」

岩渕は5試合に先発出場し、攻撃を牽引。優勝に大きく貢献し、大会MVPに輝いた。(C)Getty Images

 アジアカップで見事に優勝を果たした日本女子代表が4月22日、凱旋帰国。大会MVPにも輝いた岩渕真奈は取材に応じ、「長かったので、帰ってこれて嬉しいです」と安堵の表情を浮かべた。
 
 4月7日~20日の14日間で5試合をこなした。岩渕にとって今大会は、充実したものだっただろう。全5試合に先発出場すると、持ち前の突破力を遺憾なく発揮して攻撃を牽引。グループステージ1節のベトナム戦、準決勝の中国戦ではゴールも奪い、文字どおり「主軸」として働いた。
 
 佐々木則夫・前体制から代表に名を連ね、2011年のドイツ・ワールドカップ、12年のロンドン五輪、15年のカナダ・ワールドカップと国際大会にも度々招集されてきた。しかし、当時は途中出場がほとんど。国際舞台において、岩渕が大会を通じてスタメン出場を続けたのは、今大会が初めてだった。
 
「5試合すべてに出場させてもらって、優勝もできた。個人的には充実していた大会だったかなと思います」
 
 一方で、さらなる向上心が芽生えた2週間でもあった。

「けど、もっと上にいかなきゃいけないし、もっとやらなきゃいけないなと実感した大会でした。出させてもらっている以上は、結果で応えなきゃいけない。2得点は多くないですし、出た試合で1点は取れるくらいの選手になりたい」
 
 当然コンスタントに出番を得ることによって、責任感も一層強くなった。澤穂希、宮間あやら偉大な先輩に交じっていた前体制では、「頼っていたということはないですけど、引っ張ってくれる人がいて、自分もスタートから出るという感じではなかったので、どこかで"自分のことだけを"とは思っていた」。
 
 しかし、高倉体制では20代前半の若い選手が続々と引き上げられている。いまや25歳の岩渕は"中堅"という立ち位置だ。
 
「今はやっぱりチームを助けたいですし、チームの力になれたら良いなと強く思うようになりました」
 そんな、いっそう強まる使命感さえも、今の岩渕は受け入れてエネルギーにしてしまう。
 
「チームが変わって、立場も変わって、『自覚や責任感を持てよ』と散々いろんな人に言われてきた。そういうことを少しずつ持ち始めて、今は試合に出ていて本当に楽しい。いろんな責任感とかありますけど、サッカーを一番楽しめてるかなと思います」
 
 なでしこジャパンの主軸としての自覚に目覚め、精神的にも大人になった岩渕が、来年のワールドカップでは間違いなくキーパーソンになるだろう。今後のさらなる成長に期待したい。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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