「自作自演があった」ミス帳消しのPK阻止で波に! 殊勲のなでしこ守護神は元ストライカー

2018年04月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

冷静沈着な守りで3度のクリーンシートを達成!

FW出身だけに、敵アタッカーとの駆け引きに長ける山下(右)。アジアカップ決勝では終始冷静な対応が光った。(C)Getty Images

 真夜中の日本を再三のビッグセーブで熱狂させたのが、なでしこジャパンの正守護神だ。
 
 ヨルダンで開催された女子アジアカップ決勝で、日本はオーストラリアの猛攻に晒されながらもなんとか無失点で凌ぎ、途中出場した横山久美の決勝点で快勝を飾った。2大会連続2回目の大会制覇。攻の殊勲者が横山なら、守の立役者はほかでもない、GK山下杏也加だ。
 
 最大のピンチは15分に訪れた。ハイボールをキャッチし損ねて後方にこぼすと、相手のシュートを主将・熊谷紗希が手に当ててしまい、PKを献上した。山下は敵の渾身のショットを横っ飛びで阻止! 自身のミスを帳消しにして、波に乗るのだ。日本の3倍近い15本のシュートを浴びながら、終始落ち着き払った佇まいでパンチングとキャッチングを巧みに使い分け、なでしこゴールに鍵をかけ続けた。

 
 日テレ・ベレーザに所属する22歳。中学までは左利きのストライカーとして鳴らしたが、名門・村田女子高校の1年時に高さと身体能力を買われ、GKに転向した。日本サッカー協会が推進したGKの発掘・育成プログラム「スーパー少女プロジェクト」で才覚を見出され、瞬く間にトップクラスへと成長を遂げる。2015年7月にA代表で初キャップを刻むと、ベレーザはそのシーズンからなでしこリーグを3連覇。目下、山下はリーグのベストイレブンに3年連続で選出されている。押しも押されもしない、日本女子サッカー界のナンバー1GKだ。
 
 今大会は全5試合中、準決勝の中国戦を除く4試合にスタメン出場。グループリーグでオーストラリアに喫した1失点のみに封じ、3度のクリーンシートを達成した。奮迅の働きとはこのことだ。優勝が決まった直後のトラッシュインタビュ―では、「自作自演のところがあった。でもあれがあったから、もう試合を楽しもうと思って、あとは気軽にできました」と語り、満面の笑みを浮かべた山下。来夏のフランス・ワールドカップ、そして2年後の東京オリンピックに向けて、その総合力にさらなる磨きをかける。
 

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