降格圏脱出なるか!? 崖っぷちのサウサンプトンで求められる吉田麻也のリーダーシップ

2018年04月19日 山中忍

新指揮官が施したシステム変更で内容には光明が。

3バックのセンターでディフェンスラインを統率する存在となっている吉田。チーム最古参の日本代表に、いま求められるものは何か――。 (C) Getty Images

 今シーズンのプレミアリーグは、4月15日に行なわれた34節で優勝の決着がついた。2位のマンチェスター・ユナイテッドが最下位のウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA)に不覚を取り、首位を独走していたマンチェスター・シティの王位が確定したクライマックスは、やや拍子抜けと言ったところだ。
 
 一方で残留争いは、今シーズンも最後まで予断を許さない状況が続いている。
 
 サバイバルを懸けてラスト1か月に臨むのは、同節を終えて11位のボーンマス以下、10チーム。断トツの20位であるWBAが金星を挙げ、残留に微かな希望が芽生えた前日には、一時は最下位に根を張っていたクリスタル・パレスとスウォンジー、昇格組のハダースフィールドも際どくポイントを手にした。
 
 その煽りを食らったのは、いまだボトム3の18位にとどまり、消化試合は1試合少ないものの、降格が「いよいよ現実的」と言われるようになったサウサンプトンだ。

 

 チェルシーが相手だったとはいえ、ホームで2点差をひっくり返されての敗戦(●2-3)は、同時に3月に発足したマーク・ヒューズ新体制後のプレミアリーグ3連敗を意味し、監督交代が結果に繋がっていないことから、巷では危機感が強まっている。
 
 だが、内容に目を向ければ、新体制下での違いは見て取れる。ヒューズは、プレミアリーグでの初陣となった3月31日のウェストハム戦で惨敗(●0-3)を喫したのを境に、前体制下での基本だった4バックを捨てた。
 
 新システムは事実上の5バックとなる3-4-2-1で、前節のアーセナル戦(●2-3)でも、続くチェルシー戦でも採用された。いずれも敵に6割前後もボールを支配されたが、逆に相手にとって怖さのないポゼッションが目立った以前とは異なり、マイボール時にはゴールへの意識が窺える。
 
 例えば、左サイドを上がって先制点をアシストしたライアン・バートランドは、ウイングバックとして、それまで影を潜めていた後方からの攻め上がりを見せるようになっている。

 また、2試合連続の2得点は、怪我が多かったチャーリー・オースティンの7得点が、プレミアリーグではチーム内最多という"貧ゴール集団"にすれば、明らかに前向きな変化だ。
 
 幸い、サウサンプトンがプレミアリーグで残す強豪との対戦は、既に優勝が決まったシティとの最終節のみである。
 
 降格圏脱出へラストスパートすべく、レスター、ボーンマス、スウォンジー、そしてトップ10内にはいるが守備重視のサム・アラダイス率いるエバートンとの対戦では、5-4-1より3-4-1-2に近い陣形を意識し、過去2試合で1トップを務めたシェーン・ロングを、チーム得点王のオースティンと組ませる手もあるだろう。

次ページ吉田が言う「あと一歩」が踏み出せれば…。

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