元日本代表監督トルシエがハリル解任をぶった斬り!「韓国に大敗すれば間違いなく汚点になる」

2018年04月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

「関係がぎくしゃくしていたのは確かだろうね」

昨年末の日韓戦大敗は小さくない影響を及ぼしたと、トルシエ氏が指摘する。その重要性をハリルホジッチ前監督はどこまで感じ取っていたか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 ヴァイッド・ハリルホジッチ前日本代表監督の解任報道は、いまだ世界のフットボールシーンで波紋を広げている。
 
 ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の智将が4年前のブラジル・ワールドカップで率いたのが、アルジェリア代表チームだ。下馬評を覆す快進撃でベスト16に進出し、8強を懸けたドイツとの一戦では延長戦までもつれ込む激闘を演じた。結果的に敗れ去ったものの、世界中のメディアがグッドルーザーだと称え、ハリルホジッチ監督はアルジェリアの国民的英雄となったのだ。
 
 今回の解任劇を受けて、アルジェリア国内ではハリルホジッチ再招聘論が熱を帯びている。ロシア・ワールドカップに辿り着けなかった代表チームの再建を託すべきだと、機運が高まっているという。

 
 そこでアルジェリアのサッカーサイト『Competition』がスペシャルゲストとして迎えたのが、元日本代表監督のフィリップ・トルシエである。かつて"アフリカの呪術師"と謳われ、2002年日韓ワールドカップでは日本代表を初のベスト16に導いた。ハリル解任に対する私見、日本代表を取り巻く稀有な環境、そしてハリルのこれからについて大いに語っている。
 
 ワールドカップ開幕を2か月後に控えたタイミングでの解任劇。この一報を聞いて、トルシエ元監督はどう感じたのだろうか。
 
「驚いたかと訊かれれば、ウィ(はい)、と答えるほかない。このタイミングで日本協会が解任に踏み切ったのはさすがにね。とはいえ、一連のメディアによる報道を見ると状況が思い浮かぶよ。日本代表の強化に携わるスタッフたちはこの数か月間、ずっとプレッシャーを感じていただろう。それはスポンサーを含めての話だ。日本協会に出資しているのが大手スポンサーだという事実を、まずは知っておくべきだね。日本を代表する大企業ばかりで、時には日本協会の決定事項にも大きな影響を及ぼすんだ」
 
 その一方で、元日本代表監督らしいリアリティーのある見解を示す。昨年末、宿敵に大敗を喫した事実が重く圧し掛かったのだと論じている。
 
「当然、ここ最近の親善試合での結果が更迭に大きく作用したのは間違いない。ヴァイッドはワールドカップ出場に導いた指揮官であるにも関わらずだ。とりわけ手痛かったのは、12月のホームゲーム(E-1東アジア選手権)で韓国に1対4で負けた一戦である。最大のライバルである韓国にあのような負け方をすれば、日本サッカーのシステムにおいては汚点になるんだ。ずっと懇意にしてきた日本の友人から伝え聞いた内部情報だよ」
 
 日本サッカー協会の田嶋幸三会長も示唆したように、指揮官と選手の間には溝が生まれ、円滑なコミュニケーションができなくなっていたという。この点については、「ヴァイッドの要求に対して選手たちが反発した。これは事実で、何人かのキープレーヤーをベンチに置いたり、招集しなかったりしていたからね。グループの中に疑念が芽生えていったんだ。ヴァイッド、選手、スタッフの間の関係がぎくしゃくしていたのは確かだろうね」と話した。

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