世界的にも希少価値の高い「長身の左利きCB」、清水ユースの監物拓歩が示した圧巻のスケール感

2018年04月08日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

昨年10月にはU-17ワールドカップに出場。

流経大柏に敗れたものの、身体を張った守備で奮闘した監物(5番)。試合終盤にはパワープレー要員で前線に上がる場面も見られた。写真:田中研治

[高円宮杯JFA U-18プレミアリーグ EAST第1節]流経大柏1-0清水エスパルスユース/4月7日/味の素スタジアム西競技場
 
「完敗でした」
 
 清水ユースの平岡宏章監督の第一声はそれだった。
 
 昨夏の総体で優勝、冬の選手権で準優勝の流経大柏に主導権を握られ、とりわけ風下の後半は、一方的に押し込まれた。シュート数は、流経大柏の17本に対し、清水ユースはわずか2本。この数字がすべてを物語っている。
 
 FW平墳迅やMF滝裕太(ともに清水のトップチームに昇格)といったタレントが抜け、最終節まで優勝争いを演じた昨季のチームと比較すると、攻撃面での迫力不足は明らかだった。
 
 そんななか、小さくないインパクトを残したのが、CBの監物(けんもつ)拓歩(3年)だ。189センチの長身を活かしたエアバトルで抜群の強さを発揮。何度となく攻め込まれながらもオウンゴールによる1点のみに抑えられたのは、積極的に前へ出る守備でピンチを防いだGK梅田透吾(3年)とともに、この長身DFの奮闘が大きかった。
 
 実際、平岡監督も「梅田と監物はよく敵の攻撃を跳ね返してくれた。及第点はあげられる」とコメントしている。
 
 ただ、本人は「やろうとしていたことが何もできなかった。今日はまったくダメです」と、反省の弁。その表情からは悔しさが滲み出ていた。
 
 長身というだけでも十分に魅力的だが、そのうえ左利きで足下の技術も低くない。日本に限らず、世界的に見ても希少価値の高いタレントだ。
 
 ポゼッション志向の監督が、ビルドアップをスムーズにするために、左CBにレフティーを置く例は少なくない。その代表格がマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督だ。
 
 バイエルン時代にはダビド・アラバ、マンチェスター・Cでもアレクサンダル・コラロフと、左SBをCBで起用することさえあり、今冬には6500万ユーロ(約85億円)という大金でフランス代表のエメリック・ラポルトを獲得している。
 
 昨年10月には梅田とともにU-17ワールドカップに出場した監物。今後もこういった世界大会でアピールに成功すれば、欧州のスカウトの目に留まる、そんなシナリオもなくはないだろう。それほどのスケール感を、このCBは持っている。

取材・文●江國森(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
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