元MLBのスター捕手、伊3部クラブのオーナーとして奮闘中! サポーターは支持を表明しデモ行進!!

2018年03月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

パルマ買収は断念したが…

「レッジャーナはただチームではなく、生きざまそのものだ」とピアザ会長。夫人も「毎晩、クラブのことを思って夫婦で祈りを捧げている」と、このプロビンチャーレへの強い愛着を語っている。 写真はレッジャーナのFacebookより

 マイク・ピアザという名前を聞くと、野球ファンなら懐かしさを覚える人も多いだろう。日本人メジャーリーガーの先駆者、野茂英雄氏が1995年に入団したロサンゼルス・ドジャースで彼の"女房役"を務めたピアザは、トミー・ラソーダ監督とともに、日本でもその名を広く知られる存在だった。
 
 その後、フロリダ・マーリンズ、ニューヨーク・メッツ、サンディエゴ・パドレス、オークランド・アスレチックスと球団を渡り歩いて2008年に引退した名攻撃的捕手は、イタリアで代表チームのコーチを務め、09、13年のワールドベースボールクラシック(WBC)に出場した。
 
 アメリカ・ペンシルバニア出身だが、イタリア移民の子孫であり、現役時代には06年の第1回WBCで、自身のルーツである国の代表選手として大会に臨んでいる。イタリアに初めて行ったのは30代になってからとのことだが、それでもこの国には特別な想いを抱いていたという。

 そんなピアザが、野球ではなく、イタリアで最も人気のある競技、サッカーに深く関わることになったのは2015年の春。当時、財政破綻の危機に見舞われていたパルマの買収に乗り出したのだ。
 
 この時は撤退を余儀なくされたものの、彼のクラブ経営への熱意は冷めることなく、翌年6月、セリエCのレッジャーナに目を付け、同クラブの半数以上の株式を取得して、自身は会長に、アリシア夫人が副会長に就任した。
 
 イタリア北東部のエミリア=ロマーニャ州レッジョ・エミリア県に所在するレッジャーナは、かつて90年代にセリエAに在籍し、最高成績は93-94シーズンの14位。このシーズンには、セリエA3連覇を果たすことになるミランを1-0で下す大番狂わせも演じた。
 
 クラウディオ・タファレル、アンジェロ・ディ・リービオ、ファブリツィオ・ラバネッロ、パウロ・フットレら多くのワールドクラスもここでプレー経験があり、あの名将カルロ・アンチェロッティが、監督人生をスタートさせたクラブでもある。
 
 しかし、96-97シーズンにBに降格すると、財政難によってみるみるうちにセリエCまで降格。そして2005年にはついに倒産に追い込まれ、再建に際してクラブ名は「ACレッジャーナ」から「レッジョ・エミリアFC」へ、間もなくして現在の「ACレッジャーナ1919」に変わった。
 
 そんな厳しい道を歩んでいるレッジャーナをいつか再びセリエAの舞台でプレーさせるという目標に向け、歩み出したピアザ会長。その意気込みの強さは、異国の地に居を構えたことからも窺えた。
 
 クラブにとって大事なのは、何より財政面を安定させることで、これまでの負債を解消するために、ピアザ会長は1000万ユーロを投じたという(『Gazzetta di REGGIO』より)。そしてフロント陣の精力的な働きで、レッジャーナは幾つものスポンサーを獲得することに成功している。
 
 しかし、ここまでは苦労が続いている。新たな収入源を確保するとともに必要なのは、無駄な支出を抑えることだが、ここで大きな問題となっているのがスタジアムの賃貸料だ。

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