【セルジオ越後の天国と地獄】「優勝」への期待感を持てなかったキプロス戦

2014年06月06日 週刊サッカーダイジェスト編集部

疲れを言い訳にするなら相手も相当疲れていたはず。

「優勝」という高い目標を設定しているわりには、キプロス戦は周囲の期待感を満たせたとは到底思えない。 (C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト6.17/24号(6月3日発売号)より
 
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 ブラジル・ワールドカップに向け、5月27日に埼玉スタジアムで国内最後のテストマッチが行なわれた。日本は明らかに格下のキプロスを相手に、1ゴールしか奪えなかった。スタジアムにはたくさんのお客さんが入って盛り上がっていたけど、期待外れの試合だったのは間違いない。
 
 もっと取れたはずだし、歯がゆさが残る結果だった。後半の終わりなんて、ほとんど草サッカーと言ってもいいぐらいで見ていられなかった。大味で、中身もなんにもない。状況によっては、相手のほうがむしろ上手く見えたぐらいだったよ。
 
 何人かの選手たちが宣言しているように、ワールドカップでは「優勝」するんでしょ? 高い目標を設定しているわりには、周囲の期待感を満たすだけの戦いぶりを見せられたとは、到底思えない。自分たちを未熟な立場として捉えて、ワールドカップにも挑戦するスタンスを表明しているなら、この内容でも十分だったけどね。
 
 鹿児島キャンプでの厳しいトレーニングを終えた後で、選手たちには疲れが残っていたのかもしれない。しかし、そもそも、疲れという意味では、すでに国内リーグは終わっていて、時差ぼけもあるキプロスもキツかったんじゃないのかな。
 
 試合前々日には、代々木体育館で背番号発表を兼ねた壮行会が開催されたけど、本当にやる必要はあったのかも疑問だ。選手たちが疲れているのは分かり切っているんだから、休ませるべきだったと言いたくもなる。もっとも、壮行会でも試合でもたくさんの集客があったから、売り上げも見込めて〝イベント〞としては大成功だったね。AKB48で言えば、前々日に握手会をしてコンサート、といったところかな。
 
 個々の選手について言えば、ゴールに飢えている香川も柿谷も結果を残せなかった。柿谷に関しては、次の試合はもう先発を外されるかもしれないね。その権利を失ったと見ていいし、大久保にも先発のチャンスを与えるべきだ。
 
 ミランで苦労している本田は本来の出来からは程遠く、彼の威勢の良い発言とは裏腹に、そのプレーは口ほどに達者ではなかった。ある報道では、ミランの次期監督がインザーギになったら、予想されるふたつのフォーメーションの先発メンバーに本田の名前はなかったようだね。日本人にとっては耳の痛い話だけど、それが今の彼の実力なのかもしれない。
 
 得点を決めた内田や、負傷明けの長谷部、吉田はそれぞれ45分間だけの出場で、〝完全復活〞への足掛かりは掴めたかもしれないけど、まだフルでできないのは宿題として残っている。そこまで攻め込まれていたわけではないのに、吉田に関してはかなりバテていた印象だから、コンディションを戻すにはまだまだ時間がかかるのではないかな。

次ページメディアも勝利に一喜一憂していては困る。

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