青森山田の規格外FWがCBで今季は勝負!早速サニックス杯でベスト11に選出

2018年03月19日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

194センチの三國はベスト11を受賞し、DFとしての第一歩を踏み出した

FWへの未練はない。プロ入りを目指し、三國がCBとしてどのような成長を見せるのか楽しみだ。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

 守備の動きはどこがぎこちない。それでも、194センチの高さを生かした守りでポテンシャルを余すことなく発揮。自身の可能性を広げるべく、大きな一歩を踏み出した。
 
 青森山田は攻守に隙のない戦いを披露し、プレミアリーグの前哨戦とも呼べるサニックス杯で大会初制覇を成し遂げた。
 
 MVPに小松慧(新3年)、ベストイレブンにも檀崎竜孔(新3年)と三國ケネディエブス(新3年)が選出され、"今年も青森山田強し"のインパクトを全国のライバルたちに印象付けた。
 
 とりわけ、今大会で存在感を示したのが、ナイジェリア人の父を持つ三國だ。サニックス杯決勝の福岡U-18戦では、破壊力満点のヘディングで最終ラインに君臨。対空戦で負ける場面はほぼなく、チームの無失点勝利と初優勝に貢献した。
 
 大会を通じても安定した守りを見せ、見事にベストイレブンを受賞している。チームだけではなく、個人としても結果を残した点は成長の証だろう。
 
 CBで奮闘した三國だが、本来は最前線のプレーヤーだ。青森山田中時代は全国中学校サッカー大会で9ゴールを挙げて得点王に輝き、高1までは世代別にも名を連ねるほどの逸材だった。

 しかし、FWとして伸び悩むと、昨年は恵まれた体躯を生かすべく、CBでも起用されるように。スタメンで出場する際やリードをしている時は最終ラインに配置され、チームがビハインドを背負っている状況でピッチに立てばFWを務めた。

 FW時代の名残で9番を背負っていた有望株をどう育てるのか。注目の起用法について、黒田剛監督は「三國はCBで育てていく」と明言。「コーディネーション系のトレーニングを入れて、俊敏に動けるようにする。あとはリスタートのところで空中戦の精度をもっと高めさせたい。なので、この1年はとことん鍛えていく」と、今後の強化プランを教えてくれた。
 
 本人にCB専任になる状況について聞くと、意外な答えが返ってきた。

「プロを目指す時にFWでは厳しいなと自分も思っていた。FWへのこだわりはあって、自分は攻撃が好き。でも、将来を考えると何か物足りないなと思っていた。だから、CBをやりたいというのは1年前のサニックス杯終了後に自分から監督に伝えた」
 
 1年前のサニックス杯でFWとしての限界を感じ、今年の同大会ではCBでベストイレブンを受賞。「このサニックスの経験を生かして今後につなげてきたい」と自信を深め、転向の決断が誤りではないと自身の足で証明した。改善すべき課題も多いが、ひとつずつ出来るプレーを増やしていく。積み重ねた先に最高の結果が待っているはずだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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