柏の“異分子”小泉慶が、ポゼッション志向のチームと理想的な融合をする可能性

2018年03月08日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

横浜戦のゴールは上手くいった良い例。

まだ課題はあるが、小泉は柏で貴重な戦力になりうる可能性を示している。写真:田中研治

[ACLグループステージ3節]柏 1-0 キッチーSC/3月6日/柏
 
 柏でじりじりと存在感を増している男がいる。今季、新潟から加入した小泉慶だ。
 

 リーグ2節の横浜戦で初先発を飾ると、ACLグループステージ3節のキッチーSCでもスタメン出場。徐々に新天地で出場時間を伸ばしている。
 
 とはいえ、これまでのプレーは決して褒められるわけではない。味方にパスをつけようとして相手に引っかける場面もあれば、敵の状況を把握できずにターンをしようとしてボールをかっさらわれそうになるシーンもあった。プレーに繊細さはなく、キッチーSC戦後には小泉自身も「ビルドアップでミスを少なくしなければいけない」と反省している。
 
 その細かいミスに共通してあるのは"前への意識"。そこを真骨頂にしている小泉は、ポゼッション志向の柏で異分子のような存在だろう。だが、個の能力への依存度が高くなったり、横パスが多くなる傾向もある今季のチームにとって、理想的な融合を実現する可能性もある。
 
 良い例が横浜戦のゴールだ。ボールを受けてクリスティアーノとのワンツーでペナルティエリア内に侵入し、相手に寄せられながらも奪った得点である。「ああやって飛び出していくアイデアや距離感を出したい」と小泉は理想を掲げ、主将の大谷秀和も「ああいうのをチームとして増やしたい」と言う。
 
 また、キッチーSC戦は低い位置でのプレーが多かったが、「相手によってポジションが変わっても、真ん中に(ボールを)入れたり工夫をして怖いパスだったり(を出せればいい)」と背番号8は違った局面でのプレーイメージも膨らませる。
 
「守備の球際と切り替えの早さが自分の良さ」との小泉の言葉通り、ディフェンス面は現時点でも評価できるだろう。あとは、技術と判断に磨きがかかれば、柏の攻撃に厚みをもたらせる存在になり得る。
 
 自ら反省するように未完ではあるが、伸びしろ十分な22歳が新天地で飛躍する可能性は大いにある。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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