粗削りだが魅力十分!! 異質な才能を持つブラジル人FWは甲府の秘密兵器となれるか

2018年02月28日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

「日本人にないものがある」と小椋祥平も認めた助っ人FWの凄みとは?

昨季の出場は1試合のみ。外国人枠の関係で8月には登録を抹消されるなど、不本意なシーズンを送っただけに今季にかける想いは強い。 (C) SOCCER DIGEST

 大宮との開幕戦、1点を追いかける72分。堀米勇輝の負傷退場で出番が回ってきたブラジル人FWが、異質な才能を見せ付けた。

 76分に軽やかな身のこなしから、右足でゴールを強襲。直後の77分にも体勢を崩されながら、GKの頭上を抜くようなイメージの一撃を右斜め45度から見舞った。80分には左サイドでパスを受けると、独特の間合いで相手を剥がして左足でクロスを供給。いずれもゴールに結び付かなかったが、わずか18分の出場で観る者を唸らせた。
 
 練習生を経て昨年6月にブラジルのグアラニから加わった24歳のジュニオール・バホスは183センチ・77キロと恵まれた体躯の持ち主。フィジカルの強さに加え、スピードもあり、しなやかな動きからゴールを陥れる術も併せ持つ。独特のリズムから繰り出すドリブル突破は迫力満点だ。
 
 実際に対戦した大宮の中村太亮も「29番が出てきて少し嫌な感じがあった。彼は今まで見たことがない選手。スカウティングで少し確認したのですが、足も速くて一歩も伸びてくる。もうちょっとうまく対応出来たら良かった」と、甲府の助っ人FWに手を焼いたことを明かした。

 ボールを持つと何をやるか分からない――。

 そんな雰囲気を持つストライカーに対し、チームメイトも太鼓判を押す。トレーニングから相対することも多い小椋祥平は、「ブラジル人ということでしなやかさがあるし、練習から良いプレーをしている。日本人にないものがある。足も伸びるし、無理もきく」と異次元のプレーを説明した。
 
 特徴を一言で言えばブラジル人らしいリズムを持つFWだろう。ただ、ラテン系の雰囲気を醸し出しつつ、性格はいたって真面目だ。試合後に話を聞くと、「ブラジル人はもともとそういうリズムとか技術を持っている。あとはそれを練習で磨かないといけないし、練習から意識して取り組んでいくしかない。その積み重ねがあって、今の特徴がある」と殊勝な言葉を残しており、日々の積み重ねが彼の成長を支えている。
 
 現状では絶対的な存在ではなく、ジョーカー役としても立場を確立していない。開幕戦を欠場したジネイがコンディションを上げてくれば、さらにポジション争いは激しくなるだろう。昨季は外国人枠の関係で8月に登録を抹消され、日本1年目は思い通りの結果を残せなかった。そうした悔しさもあるだけに、今度はこのチャンスを生かして吉田達磨監督にアピールできるか。

 粗削りだが、規格外の雰囲気を漂わせる天然素材。大宮戦のようなプレーを続ければ、J1昇格を目指す甲府の秘密兵器を担う可能性は十分にある。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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