大宮の鮮烈トリックCKは一見の価値あり!「結構ドキドキしていた」という舞台裏をキッカー中村太亮が明かす

2018年02月26日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

正確無比な左足は健在!!他のプレーでも存在感を発揮した。

昨季の磐田では2試合の出場に終わった中村太亮。それだけに今季に掛ける想いは誰よりも強い。 (C) SOCCER DIGEST

[J2リーグ1節]大宮 2-1 甲府/2月25日/NACK5

 試合開始早々の8分だった。

 今季初めてのCK。しかも、今年は199センチのロビン・シモヴィッチを名古屋から呼び寄せたため、当然のように相手は空中戦で無類の強さを誇るストライカーを警戒してくる。その状況にキッカーの中村太亮は相手の裏をかいた。
 
 左CKから放たれたグラウンダー性のボールはゴール前ではなく、ペナルティアーク付近へ。相手がシモヴィッチや茨田陽生の動きに釣られるのを横目に、スペースに走り込んだマテウスが左足を一閃。「裏を取られたというか、セカンドボールに出るべき選手がブロックされて飛び出せなかった」と甲府の吉田達磨監督も認めるほどの鮮やかなサインプレーで、大宮は早い時間帯に先手を取った。
 
 試合後、中村は「あれはチームで結構練習をしていた」と先制点の場面を振り返る。トレーニングから何度か試し、得点になる機会も多かっただけに自信は十分。加えて、「うまく相手が付いてきて、茨田からリンスが離れなかったら、狙おうと思っていた」と本人が言うように、状況を瞬時に見極めたことが今回のゴールにつながった。
 事前にチームメイトと何度も擦り合わており、正確無比な左足のキックをもってすればそれほど難しい作業ではなかったのかもしれない。さらに、中村は大一番で仕掛けられる度胸も持っている。そういうレフティの技術と性格を考えれば、このアシストに何も驚きはない。

 ただ、さすがに中村も今回ばかりは緊張していたという。蹴る瞬間はかなり脈拍数を上げていたようで、「自分のボールの質次第でカウンターを食らうかもしれなかったので、結構ドキドキしていた(笑)」と真相を明かした。万が一相手にボールを取られてしまえば、一転してカウンターの大ピンチを迎えてしまう。開幕戦一発目のセットプレーで仕掛けるには、強心臓の中村であってもかなりの勇気が必要だった。
 
 今季、磐田から完全移籍を果たした左サイドバックは早速、存在感を示した。このCK以外でも勇猛果敢に攻撃を仕掛け、左サイドハーフのマテウスとのコンビで多くのチャンスを演出。試合を通じて好パフォーマンスを見せただけに期待値は高まるばかりだ。次節の町田戦では、自慢の左足からどんなプレーが飛び出すのだろうか。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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