ポスト久保世代の課題は核となる人材の台頭! U-17W杯を目指す新生・森山ジャパンの現在地は?

2018年02月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

「叩きのめされてヤバいなと思わないといけない」(森山佳郎監督)

前回大会ではチームをベスト16に導いた森山監督。この世代はどのようなチームに仕上げるのだろうか。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

 U-16日本代表が19日から23日まで都内などで合宿を行なった。
 
 彼らの目標は来年開催されるU-17ワールドカップの出場権獲得。そのためには、9月のU-16アジア選手権を勝ち抜く必要がある。
 
 チームを託されたのは広島ユースの指揮官時代に槙野智章や柏木陽介などを育てた育成畑のスペシャリスト・森山佳郎監督だ。昨年までは久保建英(FC東京)などを擁したひとつ上の世代を率い、U-17ワールドカップでチームを16強入りに導いている。今年からU-16代表の指揮官に就任し、再び世界の舞台を目指すこととなった。

 2月11日まで参戦していたUAEの国際大会から始動した新生森山ジャパン。今回が2度目の活動ということで指揮官も選手の特徴を把握しつつあり、現在のU-16代表は個で打開できる人材が少ないと見ている。前回のチームには久保や中村敬斗(G大阪)、高校2年生でJ開幕スタメンが有力視されている菅原由勢(名古屋U-18)などを有していたが、この世代は選手の距離間や連動性といった「日本的なところを追求しないといけない」と指揮官は話す。
 
 また、前回は森山監督がU-15代表時からチームをイチから構築したが、今回はU-16代表からの指揮となる。そのため、準備期間が1年短く、骨格作りもまだまだこれから。久保世代は同じ時期に8名ほど核になる選手を擁していたが、柱となる人材の発掘も大きな課題だ。
 
 ただ、逆に言えば、チームの大黒柱を担う可能性を全員が秘めている。合宿最終日の23日に行なわれた市立船橋高戦(2-1)、流経大柏高戦(1-4)と、2学年上の相手に劣勢を強いられる展開ながら、自身の持ち味を発揮した選手もいた。

 例えば、市立船橋戦に出場した京都U-15の中野桂太。2トップの一角と右サイドハーフを担ったレフティは体格こそ恵まれていないが、機敏な動きとパンチの利いた一撃で存分に個性を見せた。得意の左足で奪った2得点も鮮やかなFKと強烈なミドルシュート。その活躍ぶりに、個の弱さをチームの課題に挙げていた森山監督も「自分の形を持っている」と太鼓判を押し、一躍攻撃陣の主軸候補に浮上することとなった。
 
 ただ、全体的にはアピールに成功したと言える選手は少なく、さらなる成長が彼らには必要不可欠だ。前回のUAE遠征の初戦ではベルギーに0-3で敗れ、今回敗れた流経大柏戦でも力の差を痛感させられた。

 今合宿を終え、彼らは所属クラブに一旦戻る。次回の活動までにどのような成長を遂げるのか。指揮官は選手たちに昨年10月のU-17ワールドカップラウンド16・イングランド戦で敗れた際の映像を用いて世界レベルを説き、体力テストの結果に基づいて個々に宿題も課した。「叩きのめされてヤバいなと思わないといけない」とは森山監督の言葉。ここから這い上がり、主軸になる選手の台頭を指揮官は心待ちにしている。

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取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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