【スタイル分析】欧州仕込みのサイド攻撃と組織的なプレッシング|イラン

2014年05月23日 河治良幸

攻守を支える2ボランチの安定が鍵

アシュカン・テヤガー (C) Getty Images

 基本システムは4-2-3-1。攻撃面では、2011年4月に就任したポルトガル人のケイロス監督が植え付けた欧州仕込みのサイドアタック、守備面では組織立ったプレッシングが生命線となっている。
 
 攻守の軸を担っているのは、2ボランチを形成するネクナムとティムリアン。強さと巧さを兼ね備えたこの二枚看板が中央部にどっしりと構えているかぎり、攻守両面における歯車が狂う心配は小さい。言い換えれば、いかなる状況でも欠かせないアンタッチャブルなコンビだ。
 
 課題は攻撃のバリエーションの少なさ。両翼のデヤガーやショジャエイの突破力に頼るばかりで、仮にクロスを撃ち込んでも、ペナルティーエリア内の迫力が心許ない。アジア最終予選では全8試合でわずか8ゴールとおおいに苦しんだ。
 
 おそらく守勢に回る展開が多くなる本大会では、相手の最終ライン裏に抜け出すCFグーチャンネジャードを目掛けた、シンプルなカウンターを用いる機会が増えそうだ。グーチャンネジャードは予選終盤に台頭して、フィニッシュのクオリティーを少なからず改善させた主砲だ。
 
文:河治良幸
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