【指揮官コラム】三浦泰年の『情熱地泰』|興奮、感動の平昌五輪! 大舞台の真剣勝負はなぜ人を魅了するのか?

2018年02月18日 サッカーダイジェストWeb編集部

自身も肌で感じた個人スポーツ選手のメンタリティーと志の高さ。

フィギュアスケート男子個人でワンツーフィニッシュを飾った日本勢。多くの日本人が歓喜に浸ったはずだ。(C) Getty Images

「日本人だな~」と思う日が続いているのは僕だけではないであろう。
 
「平昌オリンピック」でメダルを獲得、あるいは惜しくもメダルを逃す、とたくさんのシーンに興奮する自分自身を『日本人だな~』と実感している。
 
 17日はフィギュアスケート男子フリーが行なわれ、圧巻のワンツーフィニッシュ!
 
 鹿児島ユナイテッドFCの選手、コーチングスタッフは、生でこの喜びを共有できなかった。ちょうど、この時間はトレーニングの真っ最中。練習後、時間差で皆、喜びを味わったであろう。
 
 きっと日本人であれば誰もが、こんなに誇らしく、嬉しく、喜びを感じる日はないであろう。そう思える凄いことだ。
 
 スポーツは違えども、平昌オリンピックを見て、プロのサッカー界は危機感を持たなければいけない。彼ら彼女らのように本当に真剣に人生を賭けて口だけではなく「やっている!」のであろうか?
 
 僕が現役の時にこんなことがあった。
 
 自身のパフォーマンスを上げるために、僕は自主トレーニングで鳥取へ行ったのだが、そこで、あるスペシャルなトレーニング指導を受けた。それはベーシックな1キロ走だった。いろんな競技のアスリートが集まるその場所で、僕と一緒に走ったのはテニスプレーヤーとボクシングの選手だった。
 
 確かふたりともプロであり、僕は当時36歳であった。そして、36歳でもクーパー(12分間走)で3,650mを走れた僕が、この2人にそのタイム走で負けてしまった。
 
 もちろん競う必要はなく、ランニングフォームをチェックし、改善していくためのものとはいえ、少し頭の薄かったプロテニスプレーヤーと若くて威勢の良い兄ちゃん風のプロボクサーより遅れてゴールした時には、個人スポーツ選手のメンタリティー、志の高さにびっくりしたことがあった。
 
 今回の平昌オリンピックのメダリストたちのコメントを聞いてもそうだ。ほとんどの選手が「リバウンドメンタリティー」を感じさせる言葉を口にしていた。前回のリベンジを含め、「こんちくしょう」という気持ちを忘れずに闘い続け、それから4年後、8年後、あるいはそれ以上の年月を経て、五輪の舞台に辿り着いて競技に臨んでいる。
 
 時には敗北や失敗、自身への甘えやおごりをしっかり受け止め、認め、自ら厳しい環境に身を置き、苦しいこと、辛いことを自身で買って、競技人生を賭けてこの大会に向けて戦ってきたのだ。
 
 そして本番となれば、ちょっとした妥協や油断でさえも、メダルの色や表彰台に上がれるかどうかにまで関わってくる。大舞台で戦っている選手たちは、まさにギリギリの精神状態で試合に挑んでいる。

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