【スタイル分析】伝統を覆すポゼッションサッカーで主導権を握る|イタリア

2014年05月23日 ロベルト・ロッシ

「カテナッチョ」の定説は過去の話。

マリオ・バロテッリ(左)とアンドレア・ピルロ(右) (C) Getty Images

「イタリアといえばカテナッチョ」の定説はもはや過去の話。プランデッリ監督は就任以来、カルチョ伝統の「敵に主導権を委ねる堅守速攻」とは一線を画したポゼッション志向のトータルフットボールを追求してきた。
 
 今大会はいわばその集大成。守護神ブッフォン、司令塔ピルロ、そして怪童バロテッリというセンターラインをはじめ、準優勝したEURO12から顔触れはほぼ変わらない。
 
 戦術的コンセプトは、ピルロをはじめ技巧派揃いの中盤を軸に、安定したボールポゼッションで主導権を握るアクティブなサッカー。ピッチ中央の人口密度が高い4-3-1-2を基本システムとしているのも、中盤で数的優位を作り出してボールを支配し、試合のリズムをコントロールするためだ。
 
 守備はハイプレスよりもリトリートが基本。ディレイしながら陣形を整えて相手の攻撃を迎え撃つ。ボール奪取後の守→攻の切り替えは、カウンターではなく、ショート&ミドルのパスを繋ぐビルドアップが主体。攻撃のラスト30㍍の局面は組織的なメカニズムではなく、バロテッリをはじめとするアタッカー陣の個人能力を拠り所とする。
 
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
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