【スタイル分析】ベースは堅守速攻だが丁寧なビルドアップも|ギリシャ

2014年05月23日 河治良幸

接戦に強いメンタリティーが武器。

ゲオルギオス・サマラス (C) Getty Images

 予選で喫した失点はわずかに6。しかも、そのすべてがPKもしくはセットプレー絡みで、崩されて奪われたゴールはひとつもなかった。この堅守をベースとした速攻が基本戦術だ。
 
 ベスト8に進出したEURO12から主力の顔ぶれに大きな変化はない。ツィオリスが戦術面、カラグーニスが精神面でチームを牽引。組織的な守備からシンプルで迫力のある速攻を繰り出す一方で、ビルドアップの場面ではロングボールに頼らず、むしろ中盤を経由した丁寧なつなぎで攻撃を構築する。
 
 崩しのキーマンはサマラス。縦への突破や巧みなボールキープで好機を演出するだけでなく、逆サイドからのクロスに飛び込む積極性も兼備する。フィニッシュの局面ではミトログルが重要な役割を担う。かつての大エース、ゲカスから定位置を奪った点取り屋は、味方のクロスもしくはスルーパスに鋭く反応し、高い確率でゴールを奪う。
 
 90分を通して集中を保つ粘り強い精神力が、このチーム最大の武器。予選で挙げた9勝のうち6つが1点差の勝利だった。接戦に強いメンタリティーは、本大会でも拠り所となるだろう。
 
文:河治良幸
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