【仙台】”新司令塔”はJ1初挑戦の実力者!! TMでアシスト連発も開幕へさらなるレベルアップを目指す!

2018年02月12日 板垣晴朗

チームが志向するスタイルに合う、必然の出会い。

奧埜とランニングをする庄司(中央)。今季はこのふたりがダブルボランチを組む可能性もある。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

「すべてです」
 
 庄司悦大は即答した。2月11日時点で、自身初の挑戦となるJ1の舞台に向け、開幕までに特に高めたい点について、質問した時のことだった。
 
 今季から、仙台の一員となった。専修大を卒業後、町田、山口、岐阜でプレー。JFLからJ2までのカテゴリーを駆け上がるなかで、それぞれの場所において中心選手として活躍してきた。

 昨季の岐阜では加入1年目にして背番号10をつけ、キャプテンにも就任。多彩なパスワークで相手を崩すチームの中心的存在として、出し手としても受け手としても、そして何より決定機の担い手としても、無二の実力を発揮してきた選手である。
 
 その名手が2018年、さらに高いステージをプレーの場に選んだ。「J1でチャレンジしたいという気持ちがあって、素晴らしいオファーをいただいたので」と、1月13日の新加入選手記者会見の席において、庄司はその理由を明かした。

 J1クラブのなかでも、庄司がそのスタイルに魅力を感じていた場所だからこそ選んだのが仙台というクラブだった。試合中継を数多く視聴し、「見ていて気持ちの良い戦いをしていたチーム」と感銘を受けた。「迫力がある」という、ユアテックスタジアム仙台の雰囲気も印象に残っていたという。
 
 その仙台にとって、庄司はチームの志向するスタイルに合う人材として、待たれていた存在だった。2014年4月の渡邉晋監督の就任以来、長い時間をかけて組織を磨き、攻撃面においては3-4-2-1を基本フォーメーションとして、流動的にポジションを取りながらボールを動かし、相手を突き崩す形を増やしてきた。

 そのスタイルの基盤を固めながら、ボール保持時のパス精度や、状況に応じたポジショニングの判断能力、そして決定機の量と質の向上といった部分を高めている途上にあるのが、現在の仙台である。
 
 センスも精度もハイレベルなパスが、庄司の最大の武器であり、それが仙台というチーム全体の武器にもつながる。この出会いは必然だったといえる。

 加えて、仙台は昨季までパスワークの中心的位置にあったボランチの三田啓貴が、このオフに神戸に移籍してしまっていた。彼の"代役"はJ全体でもそういるものではないが、そうではなく、"仙台が新たな形で相手を突き崩すパスワークを可能にできる人材"の候補はいる。庄司は、その一人だった。
 
「自分自身、初めて挑む場所。その気合いを、プレーで表わせるように頑張ります」。そうして臨んだ仙台のキャンプで、庄司は新しい仲間とコミュニケーションを深めながら、特に自らの武器であるパスを活かそうとしている。キャンプ中の練習試合では毎試合のように味方のゴールをアシストし、J1の舞台で戦うための準備を着々と進めているところだ。

次ページぶち当たったひとつの壁。それでも…。

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