アルゼンチンの点取り屋が、観る者の度肝を抜く圧巻のゴールを突き刺して話題となっている。
 
　現地２月４日に行なわれたアルゼンチン・リーグ14節のオリンポ戦で、リーベル・プレートに所属する元アルゼンチン代表FWのイグナシオ・スコッコが決めたのは、なんと７人抜きのスーパーゴールだ。
 
　スコッコが、その妙技を見せたのは、チームが１点をリードした82分。相手ゴールから30メートル付近でボールを持ったストライカーは、華麗なドリブルで瞬く間に５人をいなして、ペナルティーエリア内に進入。ここでも相手DF一人とGKを冷静にかわしてゴールを決めたのだ。
 
　母国のレジェンドであるディエゴ・マラドーナが、1986年メキシコ・ワールドカップ準々決勝、イングランド戦で５人をかわして決めた鮮烈な一撃を凌ぐ"７人抜き"を決めたスコッコは、試合後に謙遜しながら、自身のスーパーゴールを振り返っている。
 
「僕のキャリアで最も美しいゴールのうちの一つではあるよ。ただ、マラドーナとは比較できないよ。僕の場合はスペースが空いていて、幸運にもゴールできただけだからね」
 
　当人は「運に恵まれた」としたが、いくらスペースがあっても７人を抜くのは至難の業。当然、そのことを理解しているアルゼンチン・メディアは手放しで賛辞を贈っている。
 
　アルゼンチン紙『LA NACION』は、「スコッコは、あらゆる惑星から称賛を浴びるだろう。彼の洗練された『芸術作品』こそ、アルゼンチン・サッカーの神髄だ」と褒めちぎっている。
 
　また、アルゼンチンを代表する有名紙『Ole』は、スコッコのゴールについて、「魔法をありがとう」と題して次のように称えた。
 
「スコッコのゴールは夢の中でのみ可能な技だ。だからみんなはやってみても意味がない。それくらい圧倒的なスキルだった。彼はこの夜、王となり、観客の喝采を独占した」
 
　メディアからも褒めちぎられた32歳のストライカー、スコッコ。今シーズンは12試合で６ゴールと好調を維持しているだけに、コンディションを維持できれば、2012年に一度だけ招集されたアルゼンチン代表への電撃復帰の可能性もありえるかもしれない。