豪州サッカー連盟はなぜ「ファン・マルバイク」を代表チームの新監督に選んだのか

2018年01月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

ファン・ボンメルもふたたび右腕として

豪州代表を率いることになったファン・マルバイク(右から2人目)。サウジ代表時と同じスタッフで臨み、義理の息子であるファン・ボンメル(左端)もともにロシアへ向かう。(C)Getty Images

 1月25日、オーストラリア・サッカー連盟(FFA)は空席となっていた代表チームの監督に、前サウジアラビ代表監督のオランダ人、ベルト・ファン・マルバイクを招聘したと発表した。契約期間はロシア・ワールドカップ終了までのおよそ5か月間となる。
 
 シリア、ホンジュラスとの熾烈なプレーオフを制して本大会出場を決めたサッカルーズ(代表チームの愛称)。思うように結果が出ず、手厳しいバッシングに晒され続けたアンジェ・ポステコグルー監督は予選中から退任の意向をほのめかしていた。大陸間プレーオフ後に辞意を表明し、横浜F・マリノスの新監督に就任。その後FFAはロベルト・マンチーニ、ユルゲン・クリンスマン、スラベン・ビリッチ、ルイス・ファン・ハールといった大物の釣り上げに乗り出したものの、交渉はいずれも不調に終わり、年が明けても新監督は決まらないままだった。
 
 だが、一度は断られたファン・マルバイクに再度アタックし、今回の短期契約に漕ぎつけた。ホッと胸をなでおろしたのがFFAのスティーブン・ローウィ会長だ。ファン・マルバイクは常に優先順位の高い候補者であったという。
 
「ようやく代表監督が決まって安堵しているとともに、オーストラリア・サッカー界は素晴らしい成果を得ることができた。ベルト・ファン・マルバイクは紛れもないワールドクラスの指導者であり、2010年のワールカップではオランダをファイナルへと導いた。そしてご存知の通り、ワールドカップ予選では我々と出場権を争ったサウジアラビアを率いて、ストレートインを果たしたのだ。このタイミングで就任してもらうにあたり、ファン・マルバイクがサッカルーズのことを熟知している点も大きく作用した。対戦相手として鋭い分析をしていて、選手の持ち味やプレースタイルをよく理解している。これが大きな決め手になったのは疑いがない」
 
 加えて、米スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、FFAはオランダ人指揮官が好みで、2006年ドイツ大会でサッカルーズを躍進に導いたフース・ヒディンクのような辣腕をファン・マルバイクに期待しているという。ヒディングの後を引き継いだピム・ファーベイクもオランダ人で丸4年間に渡って指揮。2010年南アフリカ・ワールドカップではグループリーグ敗退の憂き目に遭うも、FFAからは一定の評価を得ていた。
 
 今回の就任にあたってファン・マルバイク新監督は「オーストラリア代表とワールドカップを戦えることになった。ファンタスティックの一語に尽きる」と喜びを表現し、さっそくグループCの展望を披露した。
 
「フランス、ペルー、デンマークと同居している。どう考えてもフランスがナンバーワンであり、オーストラリアは2位に滑り込んでラウンド・オブ16に進出できたなら、それだけでひとつの成功と言っていいだろう。代表チームのタレント力を考えれば、十分に勝ち抜ける力はあると思う。準備期間は短いが、いい仕事ができるという確信もある」
 
 愛娘の夫であるマルク・ファン・ボンメルがサウジ代表時と同様にコーチを務め、頼れる右腕として帯同する。オーストラリア代表は3月の国際Aマッチウイークでノルウェー、コロンビアと親善試合を戦う予定。ワールドカップ最終予選の最終節でハリルジャパンに土を付けたオランダ人指揮官の舵取りに、注目が集まる。
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