【柏】「まるで昨年からいるような」”新10番”が指揮官を脱帽させるハイパフォーマンス!

2018年01月24日 サッカーダイジェスト編集部

攻撃の潤滑油となり、2ゴール・1アシスト!

トップ下として新戦力で唯一、江坂は主力組に入った。写真●鈴木潤

「まるで昨年からこのチームにいるんじゃないかと感じるぐらいにフィットしている。コンビネーションやタイミングがいい」
 
 鹿児島県指宿市でキャンプを行う柏は、鹿屋体育大と40分×4本の練習試合を行ない、合計12得点を奪う圧勝を飾った。

 1月30日のアジア・チャンピオンズリーグのプレーオフラウンドを視野に入れ、1、2本目は現時点の主力メンバーが組まれたのだが、そこに新戦力で唯一入ったのが江坂任だった。冒頭の言葉は、その江坂に対して下平隆宏監督が与えた評価である。

 昨季までの柏の攻撃は、クリスティアーノ、伊東純也、ハモン・ロペスの突破力に委ねる傾向にあり、サイドに偏りがちだった。そのため今回の指宿キャンプでは得点力アップを目指し、中央のコンビネーションを中心に攻撃バリエーションを増やす取り組みに比重を置いてきた。

 新たにトップ下に入る江坂は、間違いなくそのキーマンとなる存在だ。今季初の対外試合にて、江坂は期待に違わぬプレーを見せる。
「シモさん(下平監督)からはクリスが流れる傾向にあるというのは言われていましたし、自分がその時に中で要求するところはやらないといけないと思っていました。その形から点も入ったので、そこでいいコンビネーションはできたのかなと思います」

 練習試合での自分自身のプレーをそう振り返るとおり、江坂はクリスティアーノのみならず両翼の伊東、R・ロペスの動きを見ながら絶妙なポジショニングで味方からボールを引き出し、柏の生命線であるパスワークの潤滑油として攻撃にリズムと彩りを加えていった。

 そして「下がってしまって、自分がクロスに入らなかったら意味がない」と、ボールをさばいた後は味方のクロスに合わせるために猛然とゴール前へ入っていく。

 17分に相手のミスを見逃さずに先制点を挙げた江坂は、34分には中央のコンビネーションでクリスティアーノの追加点をアシストし、48分にはクリスティアーノのクロスをヘッドで合わせてネットを揺らした。伊東、R・ロペスとの連係も良く、80分間で柏が8得点を奪う一因となっていた。

 下平監督の「昨年からこのチームにいるようだ」というのも納得できるパフォーマンスである。

 一連の江坂のプレーを含め、キャプテンの大谷秀和もチーム全体の仕上がりの良さを口にする。
「任は良い形で攻撃に絡んでくれるし、守備も献身的にやってくれるので、任を使いながら攻撃のイメージもできている。去年はあまり中央を崩す形がなかったけど、任がそこでセンスを発揮してくれているので、周りが任と連動した動きもできているし、すごくポジティブなことが多かった」

 そして何より、江坂自身が新天地で手応えを掴んでいることは大きい。
「まだ1試合ですし、キャンプが始まってまだ2週間経っていないので、まだまだ合わせないといけない部分はありますが、今の感覚でできればもっともっと良くなるんじゃないかなという感じはあります」

 今季、彼が個人的に掲げる目標は「10得点・10アシスト」だという。これは間違いなく高いハードルだ。ただ、柏の"新背番号10"はそこに到達できるだけの期待を、早くも感じさせている。

取材・文●鈴木潤(フリージャーナリスト)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事