前代未聞のプロジェクト! サウジ9選手がリーガへ大量流入した背景に一体なにが!?

2018年01月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

サルマン皇太子がリーガのテレビ放映権を…

中央の選手に見覚えはないだろうか? W杯最終予選の最終節、日本ゴールに鮮烈弾を叩き込んだアル・ムワラドだ。サウジ・サッカー界の至宝はレバンテに乗り込む(写真はレバンテの公式ツイッターより)

 サウジアラビアからスペインへ、前代未聞の大移動だ。
 
 1月21日、サウジアラビアの首都リャドで一大セレモニーが開催された。リーガ・エスパニョーラ、スペイン・サッカー連盟、サウジのスポーツ省、そしてサウジ・サッカー連盟がパートナーシップ契約を締結。まずは手始めに、リーガの1部と2部のクラブへサウジの9選手をレンタル移籍させることで合意したのだ。
 
 1部リーグには3選手がエントリー。ビジャレアルにMFサレム・アル・ドサリ(アル・ヒラル)、レガネスにMFヤヒア・アル・シェフリ(アル・ナスル)、レバンテにMFファハド・アル・ムワラド(アル・イティハド)が加入する。2部リーグではバジャドリーにMFヌー・アル・ムサ(アル・ファテフ)、ラージョ・バジェカーノにMFアブドゥルマジド・アル・サライヘーム(アル・シャバブ)、ヌマンシアにMFアリ・アル・ナメル(アル・シャバブ)の3選手が入団。残る3選手はユース年代の有望株で、それぞれビジャレアル、レガネス、2部のスポルティング・ヒホンで研鑽を積む。なお選手のレンタル料と給与はすべて、スポーツ省が支払うという。
 
 サウジ側の狙いは明白だ。ロシア・ワールドカップを控えた代表チームの強化と選手の実力向上が目的で、クラブ運営や育成メソッドの学習も意図している。これまで禁じてきた外資の受け入れや欧米文化の積極的な取り込みなど、部分的な開放政策が進んでおり、国民の最大の娯楽であるサッカーの門戸も開かれつつあるというわけだ。
 
 一方、スペイン側のメインターゲットはサウジにおけるサッカービジネスそのもの。今回のパートナーシップ契約のキーマンは、ほかでもないムハンマド・ビン・サルマン皇太子で、王国のトップ2の実力者にして大のサッカー通だ。スペインの全国紙『Marca』は「皇太子がリーガのテレビ放映権を買うのは間違いない。その契約金は莫大な額になるだろう」と報じている。
 
 リーガ側は公式声明において、「過去何か月にも渡り、選手のスカウティングについてはさまざまなクラブの間で折衝があり、議論が交わされてきた。ゆえにあくまで、戦力補強としての移籍である」と強調した。しかし全国紙『AS』は「ビジャレアルなどは中東市場への足掛かりを掴むことを念頭に置いている」と報じ、ラジオ局『Cadena Ser』にいたっては、「我々の調査ではこれらの移籍はすべて、チーム側の希望によるものではなく、財政的な側面で成立したものだ」と言い切る。
 
 いずれにせよ、法律によって国外でのプレーを禁止されてきたサウジの選手たちにしてみれば、ついに訪れる夢のような瞬間だ。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、実に興味深い。
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