【東京V】ユース出身も1年で移籍…”カズの11番”を託された林陵平が語る復帰の真相

2018年01月14日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

「常に心の中にあるクラブ」に帰ってきた。

昨季14得点の林は愛するクラブでゴールを量産できるか。写真:田中研治

 14日に行なわれた東京ヴェルディの新体制発表会見で最も盛り上がった場面がある。
 
 水戸から完全移籍を果たした林陵平が、新加入選手としての意気込みを語った時だ。林がマイクを握ると、固唾を飲んでその様子を見守るサポーターたち。そして、「みなさん、ただいま!緑の血が流れる林です」と挨拶をした瞬間、会場の熱気は最高潮に達した。
 
 何故、これほどまでに客席から歓声が上がったのか。それにはふたつの理由ある。ひとつ目は小中高を東京Vの下部組織で育ったから。そして、ふたつ目が明治大を卒業した直後の09年に東京Vへ帰還するも、経営難もあって1年で柏に移籍する結果となったからだ。サポーターの想い入れが強くなるも必然だろう。
 
 もちろん、本人もそのルーキーイヤーの出来事を鮮明に覚えており、「僕が入った時はヴェルディがなくなるんじゃないかというレベルで、選手の中でも大丈夫かと話していたぐらいなので大変でした」と回想する。

 そして、今回、縁あって林は9年ぶりに古巣へと戻ってきた。彼にオファーが届いたのはシーズンが終わった直後。「自分にとって常に心の中にあるクラブだったのでいつかまたプレーをしたいと思っていた」という林が、「ほかにも興味を持ってくれたクラブがあったけど、一番最初に正式にオファーを出してくれたのがヴェルディだった」という事実も含め、愛するチームへの復帰を即座に決めたのは自然な流れだった。
 
 もちろん、クラブも下部組織出身だからという理由だけで動いたわけではない。昨季のパフォーマンスを評価しての獲得だ。それは与えられた背番号にも表れており、かつて三浦知良(横浜FC)も背負った背番号11を林に託した。本人もその期待値を理解している。

「ヴェルディのエース番号と言えば、カズさんの11番。そこに対してのプレッシャーはないのですが、やっぱり、この背番号を背負ってプレーできることはなかなかない。背番号を決めるときに11番のお話をいただいたので、自分でもカズさんの番号を付けたいなと思った。カズさんもまだ現役なのでカズさんの分も背負って戦いたい」
 
 愛するクラブへの帰還とレジェンドが背負った背番号11。この状況に林が燃えないわけないだろう。3トップが想定される最前線には昨季17ゴールのアラン・ピニェイロ、同18ゴールのドウグラスがライバルとして立ちはだかるが、186センチの体躯を生かしたプレーで14ゴールを上げた昨季の活躍を考えれば定位置獲得の可能性は十分にある。誰よりも強い想いを持つストライカーに注目だ。
 
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取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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