【清水|新体制】再スタートへの第一歩へ、ヨンソン新監督が位置付ける“グッド・フットボール”とは?

2018年01月13日 前島芳雄

「上位進出に向けて、お金を言い訳にできないような経営状況にしていきたい」(左伴社長)

1月12日、18年シーズンに向けた清水の新体制発表会見が静岡県内で行なわれた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 1月12日、昨年よりも1日早い日程で清水の新体制発表記者会見が行なわれた。
 
 J1復帰1年目の昨シーズンは「9位以内」という目標を掲げてスタートしたが、終盤は残留争いに巻き込まれて非常に苦しみ、最終節でようやくJ1残留を決めた。J1では、2014年が15位、15年が17位(クラブ史上初のJ2降格)、17年が14位と近年は低迷が続いており、その状況を抜本的に立て直すことが、クラブとして最大のミッションとなる。
 
 したがってこの日の会見は、新加入の選手、スタッフを紹介するだけでなく、クラブ再生の中長期的なプランを示すことも大きなテーマとなっていた。
 
 まずは、新たに就任した鈴木健一郎会長と久米一正副社長兼ゼネラルマネージャーが登壇し、自らの言葉で会社としての再スタートにかける想いを口にした。そのなかで、鈴与株式会社の現社長でもある鈴木会長は、これまでの清水には「長期的に全体を俯瞰する視座が欠け、場当たり的になっていた面もあると思います。今一度『分かち合う夢と感動と誇り』というクラブの基本理念に立ち返って、修正していきたいと思います」と語り、立て直しへの本気度を示した。
 
 次に左伴繁雄社長によるクラブ方針の説明が行なわれ、収益や選手人件費の面ではJ1のトップハーフに入るレベルに近づいていることが示された。左伴社長は「上位進出に向けて、お金を言い訳にできないような経営状況にしていきたい」と語り、経営規模で上位クラブに肉薄していくための3年計画を披露した。
 
 そうした経営陣のプランが中長期的に実を結んでいけば、あとは現場が投資効率を高めて、結果に結びつけていくことが肝になる。久米GMの就任も、そのための第一歩と言える。
 
 そして、現場=チームの建て直しを託されたのが、ヤン・ヨンソン監督と篠田善之コーチの新コンビだ。昨年7月に広島の監督に就任し、停滞していたチームを立て直して残留に導いたヨンソン監督は、ノルウェーでも監督として多くの実績を残しており、日本に対する理解も深い。

 会見では「順位目標を明確に言えるのは、鹿児島キャンプを終えて私が選手たちのことを理解してからになると思います」など、慎重に言葉を選びながら地に足の着いた発言を重ね、チームの状況に合わせて現実的な対応ができる指導者であることをうかがわせた。

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