戦力均衡が進む高校女子サッカー 無失点Vの藤枝順心が強さを維持できるのは?

2018年01月08日 大森琢磨

指揮官の両脇を支えていたふたりのコーチの存在。

2大会ぶり3度目の優勝を飾った藤枝順心。選手たちはチームを支えるコーチの存在が大きかったことを明かした。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2年ぶり3回目の選手権制覇を成し遂げた藤枝順心。2回戦で、インターハイ決勝で敗れた日ノ本学園を1-0で退けて雪辱を果たすと、準決勝と決勝ではそれぞれ大商学園と作陽に2-0で勝利。03年度の鳳凰以来、実に14年ぶりの無失点優勝を成し遂げた。
 

「去年の選手権の大商学園戦、夏のインターハイの日ノ本学園戦、皇后杯でのセレッソ大阪堺レディース戦。負けの試合を成長する糧にできた。その都度できなかったことを修正していく。その繰り返しをしてきました」と、藤枝順心の多々良和之監督はこの1年を振り返った。
 
 指揮官の両脇を支えていたのが、渡辺博尚コーチと中村翔コーチである。渡辺コーチは女子の年代別代表などを指導した経験を持ち、多々良監督と二人三脚でチームを率いてきた。一方、就任1年目の中村コーチは06年度に盛岡商で選手権全国制覇を経験し、なでしこジャパンDFの中村楓(アルビレックス新潟レディース)を妹に持つ。
 
「SBが裏を抜かれてもCBがカバーしたり、CBに入る前に自分がボールカットしたり、連係したプレーができた。中村コーチが試合ごとにアドバイスをしてくれて、それを一つひとつ学んでいった成果がこの大会の無失点優勝につながったので感謝したいです」と、今大会は攻撃を封印して守備的な役割に専念したキャプテンの千葉玲海菜(3年)は話す。
 
 磨き上げた守備の連係は決勝でも発揮された。「思った以上だった」(多々良監督)という作陽のハイプレスに苦しめられた前半は、我慢する時間帯が続いた。これまでは相手のやりたい攻撃をやらせずに勝利を引き寄せてきたが、この日はまったく逆の展開になる。作陽がたびたびゴール前に迫るなか、千葉は両CBの大村琴美(3年)と長江伊吹(1年)とともに堅固な守備ブロックを築き上げ、相手の攻撃を凌いでいく。
 
 そしてプラン通りにゲームが運ばなくても、二の矢三の矢を放てるのが藤枝順心の強さでもある。劣勢に立たされたなかで、虎視眈々と反撃の機会を窺うと、前半40分にその時がやってくる。今田紗良(3年)が自陣で横パスをカットすると、そのまま敵陣へドリブルで運び、ゴール前へ走り込む青木なつみ(3年)へラストパス。青木がGKの左脇を射抜くシュートを決め、先制点に結びつけた。
 

次ページ大会の総得点数は昨年の149から84へ大幅減。戦力は均衡してきている。

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