6月でエイバルとの契約が満了を迎える乾貴士。残留を決めた場合はクラブ史上初の――

2018年01月04日 山本美智子

エイバルに残るのか、さらに上をめざすのか。

半年後にエイバルとの契約が切れる乾。地元紙はすでにクラブから契約延長のオファーがあると伝えているが。(C)Getty Images

 スペインでは昨年末から、クリスマス休暇を終えた多くのチームが後半戦に向けて練習を再開している。

 17節まで消化したリーガ・エスパニョーラで7位につけるエイバルもそのひとつだ。ただ、冬休み明けの初日となる昨年12月29日のトレーニングに、日本代表MF乾貴士の姿はなかった。遠く日本に里帰りをしていることを考慮し、クラブ側が特別に1日遅れの、30日からの練習参加を許可したと言われている。

 移動距離を考慮してというのは、おそらく事実だろう。ただ一方で、今シーズンのここまでの働きぶり、チームへの貢献度の高さがあっての配慮という見方もある。

 すっかりエイバルの街に馴染み、チームの人気者となった乾は、ホセ・ルイス・メンディリバル監督からの信頼も厚く、左MFの定位置を確保している。とはいえ、2015年8月に結んだクラブとの契約は、今後なにもなければ6月30日に満了を迎えることになる。

 地元紙『El Diario Vasco』などは、エイバルが乾に対してすでに契約延長のオファーを提示していると報じているが、現実問題として、1月1日から乾は公式に他のクラブとの交渉を行なうことが可能になると、『Mundo Deportivo』紙は指摘する。

 リーガ・エスパニョーラのスタイルにほぼ完璧に適応している乾だが、来シーズン以降もエイバルでプレーを続けるのが良いのか、さらに上のレベルをめざすべきなのか、本人の決断に注目が集まっている。

 乾がもしエイバル残留を決めて今シーズンを終えた場合、そのときまで現在のコンディションを維持できていれば、彼はエイバルの78年の歴史の中で初めてワールドカップに出場した選手になる可能性が、極めて高い。

 サッカーにおける世界最高の祭典に所属選手を送り出せるのは、エイバルのような地方クラブにとって名誉であり、そのこともエイバルが乾の残留を強く願う理由のひとつであるのは間違いないだろう。

文●山本美智子(フリーライター)
 
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