【天皇杯】「俺のミスでいい」横浜の守護神・飯倉大樹が潔く認めた2失点目の舞台裏

2018年01月01日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

今回は「ギリギリ触れるか、触れないか」の勝負だった。

2失点目の場面では、飯倉らしい思い切りの良さが出たが、結果的には失点につながってしまった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯決勝]C大阪2(1EX0)1横浜/1月1日/埼玉スタジアム2002
 
 勝負を決するゴールが生まれたのは、1-1で迎えた延長前半の95分だった。
 
 横浜から見た右サイド、C大阪の山村和也がキープすると、ややファーサイドを狙った山なりのクロスを放り込む。ゴール前でスタンバイしていた水沼宏太がこれに反応し、ヘッドで合わせてネットを揺らした。
 
 水沼の手前にいた横浜の左SB下平匠は競り勝てなかった。そして、GKの飯倉大樹は前に出てクロスをキャッチしようとしたが、ボールには触ることができず、ゴールをがら空きにしてしまった。
 
「俺のミスでいいと思います」。飯倉は潔く認める。水沼にヘディングシュートを許した下平の対応にも問題があるように見えたが、「俺が前に出た分、匠もストップしちゃった。出るなら触るべき」と、飯倉はチームメイトをかばう。
 
 一方のサイドで起点を作り、そこからの展開で逆サイドが入ってくる。C大阪の攻撃パターンのひとつとして、飯倉にはイメージがあったという。ともすれば、クロスをキャッチしようと前に出た件のプレーは無謀に映るかもしれないが、飯倉なりの準備があった。
 
 そもそも「自分の特長は、あそこでスピードを持って出るところ」だ。際どいハイボールをしっかりとキャッチし、敵の攻撃を寸断する場面は今季も何度もあった。
 
 今回は「ギリギリ触れるか、触れないか」の勝負で、「結果、良いボールが来た」。ジャンプしても届かない。そう判断してゴールに戻ろうとしたが「間に合わないと思った」。
 
「俺があそこで出なくて、ゴールのほうにポジションを取っていたら、どうなっていたんだろうなっていうのはありますけど」
 
 勝者と敗者を分けたワンプレーであり、ひとつの判断だった。それだけの大きな責任を背負って、飯倉はゴールマウスを守り続けている。タイトルを賭けた一戦ではゴールを割られてしまった。だが、柏との準決勝で、終了間際にキム・ボギョンの際どいオーバーヘッドを左手一本でかき出し、チームを"元日決戦"に導くビッグセーブを見せたのも、トリコロールの背番号21だ。
 
「ここまで来れたことが、まず勝負強さという点で、今までなかった部分というか。準決勝とか、その前の広島戦とか、難しい試合でも勝ち切れたのは、評価したい」
 
 タイトルは掴めなかったが、チームの確かな成長を実感している。その過程で飯倉が示した貢献は、決して小さくはない。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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