[高校サッカー選手権・開幕戦]佐賀東２－０関東一／12月30日／駒沢陸上競技場
 
　絶え間ない努力で培った左足が開幕戦でさく裂した。
 
　12月30日に熱戦の火ぶたが切って落とされた、年末年始の風物詩・高校サッカー選手権。開幕戦に登場した佐賀東（佐賀）は、地元の大声援を受ける関東一（東京Ｂ）を２－０で退けた。

　 そのなかで生まれたふたつの得点はどれも秀逸だったが、とりわけ２点目のゴールは圧巻のひと言に尽きる。１点リードで迎えた24分、江頭弘太の左CKがこぼれると、左SBの都渡倭（３年）が素早く反応して左足を振り抜く。綺麗な弧を描いたボールは、右ポストに当たりながらゴールに吸い込まれた。「味方DFがブラインドになって見えなかった」と関東一の守護神・北村海チデイ（２年）が話したようにゴール前の混線がプラスに働いた側面はあるが、難しい体勢からふかさずに枠を捉えたシュートは非の打ち所がないものだった。
 
　殊勲の２点目を奪った都渡は試合後、「１回バウンドして、ショートバウントみたいな感じで自分のところにこぼれてきて、監督からも『こぼれ球を思い切り打てば入る、選手権はそういうのが入る』と言われていた」と、蒲原唱昭監督から事前にアドバイスを受けていたことを明かした。だた、正確なキックができなければ、打ったとしても得点には結びつかない。都渡に技術があるからこそ、このゴールは生まれたのである。
 
　大舞台で結果を残したレフティだが、左足で勝負ができるようになったのは最近のこと。もともと、ボールを蹴る技術に課題を抱えており、居残りでキック練習に取り組むような選手だった。その努力は中村恒介（３年）も認めており、「居残りでキック練習は結構やっていた」と話すほど。しかし、その努力とは裏腹に、思うようにボールを飛ばすことができなかった。「都渡はシュートの時にコンパクトに足を振ることをずっと注意されていた。上にふかすことが多かったので、監督から『足の振りをもっとコンパクトにしなさいと』と言われていた」と中村が振り返ったように、弱点克服は思い通りに進まなかった。

【選手権PHOTO】１回戦　関東第一 0-2 佐賀東　注目の開幕戦は2得点の佐賀東が快勝