あれから34年…“貴公子”レナトはふたたび、グレミオをクラブ世界一に導けるか

2017年12月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

「決勝はなにが起こるか分からない。あの時のように…」

34年前、日本のサッカーファンを熱狂させたレナト。今度は指揮官として、クラブ世界一の頂上を狙う。

 本田圭佑を擁するパチューカを準決勝で下し、FIFAクラブワールドカップの決勝に駒を進めた南米王者グレミオ。チームを率いるのは同クラブのレジェンドで、34年前にポルトアレグレの名門を世界一に導いたレナト・ガウショ氏だ。
 
 日本中のサッカーファンにとってクラブワールドカップの前身であるトヨタカップは、一年に一度、プロフットボールの最高峰の戦いを生観戦できる貴重な機会だった。その1983年大会(第4回大会)、グレミオは国立霞ヶ丘競技場で欧州チャンピオンのハンブルガーSV(当時西ドイツ)と対戦。延長戦にもつれ込む激闘を2-1で制したゲームで、全得点を叩き出したのが右ウイングのレナト氏だった。
 
 当時21歳。その端正なマスクと爽やかな印象から、ブラジル国内で女性ファンの人気が沸騰し、モデルとしても活躍していた。トヨタカップのテレビ放映権を持つ日本テレビが大々的にプレビュー番組でこの"貴公子"を紹介したため、日本でもちょっとしたブームに。だがプレースタイルはワイルドそのもので、右サイドでパワフルかつスピーディーに仕掛け、豪快なカットインからゴールを量産していた。ハンブルク戦では右サイドの角度のないところから右足で1点、そして、中央へ切れ込んで鮮やかに左足で決勝点を挙げた。
 
 門限を破ってドンチャン騒ぎをし、ブラジル代表合宿から追放されるなど、ピッチ内外での破天荒ぶりが有名だったが、2000年に指導者としてのキャリアをスタートさせると、堅実にステップアップ。ヴァスコ・ダ・ガマやフルミネンセなど強豪クラブで監督を歴任し、2013年に1年間指揮を執ったのに続き、昨年春からグレミオで采配を振るっている。そして今年、チームをコパ・リベルタドーレス優勝に導き、クラブワールドカップへ。今度は指揮官として、世界一を目ざす。
 
 若き日のスポーティーな印象から一転、内面から滲み出るダンディズムが特徴的なレナト監督。土曜日の決勝・レアル・マドリー戦に向け、ブラジル紙の『A Tribuna』の取材に応えた。34年ぶりの世界制覇へ、意気軒高だ。
 
「選手たちには、準決勝のレアル・マドリーは本来の姿ではない、気を引き締めて臨まないと痛い目に遭うぞと伝えた。何人かの主力を温存していたわけだしね。今度こそが正真正銘の"レアル"だろう。世界のトップ3の実力をいかんなく発揮するだろうし、我々は死に物狂いで立ち向かい、120分間プラスPK戦まで戦い抜く覚悟で挑む。一発勝負だ。あの時(1983年大会)もそうだったが、決勝というものはなにが起こるか分からない。かならずやグレミオに、歓喜をもたらしたい」
 
 マドリーを率いるのはジネディーヌ・ジダン監督。"将軍"と"貴公子"のタッチライン際でのパフォーマンスにも注目が集まる。
 
 決勝は現地時間12月16日、21時キックオフだ。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事