英雄パク・チソンが韓国サッカーを救う!「この危機を見過ごすわけにはいかない」

2017年12月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

W杯で韓国が居心地良く過ごせる場所なんてどこにもない。

先日は平昌冬季五輪の聖火リレーに参加。いまだ国民の厚い支持を得るパク・チソン氏が、ついに韓国サッカー強化の重責を担うことに。(C)REUTERS/AFLO

 元韓国代表MFで、現在は古巣マンチェスター・ユナイテッドのアンバサダーなどを務めているパク・チソン氏が、韓国・水星で記者会見に臨んだ。
 
 今回発表されたのは、大韓サッカー協会との新たな雇用契約。ユース戦略部の部長に就任したのである。若年層のタレント強化に力を入れる同協会が、十代の頃から国外クラブでプレーしたパク・チソン氏の経験を必要と感じ、要請した。韓国サッカー界はA代表の質低下や人気低迷が囁かれている。地盤沈下を解消すべく、2002年の日韓ワールドカップで母国を4位に躍進させた永遠の英雄に白羽の矢を立てた格好だ。
 
 しかしながら、36歳になった稀代のアタッカーの口から飛び出したのは意外な言葉だった。
 
「結果的にオファーを受け入れましたが、最初は固辞していたんです。でも、韓国サッカーを取り巻く環境は悪くなるばかりで、自分自身がそれに対して向き合わず、無責任な立場のままでいいのか、海外で培ってきた経験を還元すべきなのではないかと、考えるに至ったわけです。目の前にある危機を見過ごすわけにはいかない。ユース部門は韓国サッカーの根幹をなすもの。しっかりと責務をまっとうしたい」
 
 基本的には非常勤で、氏が持つ海外のコネクションを協会側が活かしながら、ユース部門の各ダイレクターと頻繁に意見を交わしていくという。「すでにサー・アレックス・ファーガソンやデイビッド・ギル(マンチェスター・Uの元強化担当者)といった人物に話を訊いています。僕自身もあらためてヨーロッパの育成環境を勉強しながら、いい橋渡し役になれればいいと思っています」と力を込めた。
 
 さらに、ワールドカップ本大会に臨む韓国代表についても言及。ドイツ、スウェーデン、メキシコと同居する死のグループに組み込まれたが、かつてのヒーローは冷静に受け止めている。
 
「ワールドカップのような舞台で、韓国が居心地良く過ごせる場所なんてどこにもない。今回は良い、今回は悪いというものではないと僕は思っています。ただ、ワールドカップの成績によってファンの関心なり雰囲気は変わってしまうもの。そのことを代表選手たちはよく考えて、取り組まなければなりません。代表チームのパフォーマンスはサッカー人気そのものに大きな影響を与えるのです」
 
 韓国ユース年代の強化責任者となったパク・チソン氏。現役時代と同様に、アジアの各種大会でふたたび、日本の前に立ちはだかる。
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