「怪我の多かった僕と…」「皆の力があったから」MVP獲得の小林悠がなにより伝えたかった想い

2017年12月06日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

名手たちが掴んできた栄えある個人タイトルの受賞に際し…。

MVP受賞スピーチ後には、家族が登場。“サプライズ演出”に小林も驚きを隠せなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 最優秀選手賞(MVP)の受賞スピーチは感謝の言葉から始まった。

「まずは個人的に感謝を伝えたい人がいるので言わせてください。プロになってから怪我が多かった僕と悔しい想いをするたび一緒に泣いて乗り越えてくれた奥さんに感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとう」

 続けて、チームに向けてこう言葉を紡ぐ。
「タイトルを取れたのはチームメイト、スタッフ、サポーター、関係者、皆の力があったからだと思います。その中でキャプテンマークを巻いて先頭を走ってきたから、このような素晴らしい賞をもらえたんだと思います」

 2010年のプロ入りから川崎ひと筋を貫き8シーズン目でのリーグMVP獲得。1993年の三浦知良から始まり、中村俊輔や遠藤保仁、中村憲剛といった名手たちが掴んできた栄えある個人タイトルの受賞に際し、小林は周囲への感謝を余すことなく伝えた。

 シーズン前、小林には他のJ1クラブから獲得オファーが舞い込んだが、悩み抜いた末に残留を決断。すると、新たにキャプテンに就任して迎えた今季開幕前のキャンプでは、チームメイトの前でこう語りかけたという。

「頼りないし、サッカーはチームの中で上手くないけど、フロンターレを勝たせたい気持ちは誰にも負けないからついてきてほしい」

 タイトルへの並々ならぬ決意を抱いて迎えたシーズンで、チームはルヴァンカップで準優勝、ACLでは準々決勝で浦和に敗れるなど勝負弱さを覗かせたものの、リーグ初制覇という最高のエンディングを迎えた。

 そして、最後に訪れたのが個人3タイトル(得点王、ベストイレブン、MVP)の受賞。小林にとっての17年シーズンは、生涯忘れられない最高の形で締め括られた。

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