J1昇格を逃した千葉には「何が足りなかったのか」キャプテン近藤直也が出した答えは

2017年11月29日 赤沼圭子

新戦術を体現できるようにはなったが、冷静に賢く、そして我慢強く戦えるまでには至っていない。

近藤は「安定感がなかった」と昇格を逃した要因を語った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1昇格プレーオフ準決勝]名古屋4-2千葉/11月26日/パロ瑞穂
 
 J1昇格プレーオフ準決勝の試合後、キャプテンの近藤直也は、今季のチームがJ1昇格を達成するために何が足りなかったか、と聞かれ、次のように答えた。
 
「安定感がなかったなというのは正直、感じています。良い戦いをしていながら簡単に失点してしまったりとか、シーズンを通して力を発揮できなかったところが、昇格できなかった要因なのかなという気がします」
 
 アウェーゲームの勝率の悪さも克服し、怒涛の7連勝でリーグ戦を締めくくった千葉。だが、「自分たちのサッカーをやり続ける」ことでの勢いと自信は得たものの、チームとしての安定感は完全には身についていなかった。
 
 安定した戦いをするためのゲームコントロール力、それにつながる選手個々のメンタル、相手の変化に対応する柔軟性、様々な面での力不足をJ1昇格プレーオフ準決勝という重要な一戦で露呈した。
 
 名古屋は前回対戦(41節)で4-2-2-2システムを採用していたが、プレーオフ準決勝では3-2-4-1に変更。シモビッチの活躍やガブリエル・シャビエルの復調もあって前からの圧力を強めてきた。名古屋の強力助っ人に起点を作られてプレスがハマらなかった千葉は、複数の得点機を作られてしまう。それでも45+2分にセットプレーの流れから先制できたのは幸運で、千葉に有利な試合展開となった。
 
 しかし、61分に名古屋の同点ゴールが決まる。このゴールの際、名古屋の田口泰士の手にボールが当たっており、ハンドの反則とジャッジされてもおかしくなかった。千葉の選手は激しく抗議したが、判定は覆らない。
 
 勝たなければ決勝へ進出できない千葉にとって「審判が『手に当たっていたのは見えていた』と言っていた」にも関わらず、それを流されて認められた同点ゴールの影響は大きかった。
 
 千葉に傾きかけていた試合の流れが変わり、選手はその流れを取り戻す強さを発揮できなかった。メンタル面への影響も少なくなく、慌てたようなミスや集中力を欠いたミスも増え、直後の66分にはシモビッチに逆転弾を許してしまう。
 
 終わってみれば2-4。4失点した守備もさることながら、シュート数は多くても決定率が低いという課題も、この重要な一戦では解消できていなかった。
 
 今季就任したフアン・エスナイデル監督の新戦術を自分たちで調整しながら体現できるようにはなったが、何があっても冷静に賢く、そして我慢強く戦えるまでには至っていない。エスナイデル体制2年目を迎える来季は、そうした課題の解消がテーマだろう。

取材・文●赤沼圭子(フリーライター)
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