なぜACLは「特別」なのか?武藤雄樹が感じた「非日常」とその攻略法

2017年11月18日 五十嵐創(サッカーダイジェストWEB)

「また上海戦のような集中力や意識が必要」

「国と国をかけて戦っている」ACLは、「やっていてすごく充実感がある」という。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 浦和が現地18日、アル・ヒラル(サウジアラビア)とのACL決勝第1戦をアウェーで戦う。チームは14日に日本を発ち、UAEでの短期合宿を経てリヤドに乗り込んだ。目立った怪我人もおらず、順調に調整を続けているようだ。
 
 この運命の一戦に向けて、並々ならぬ闘志を燃やしているのが武藤雄樹だ。ACL決勝前最後の公式戦となったリーグ戦の鹿島戦後、このアタッカーは「リーグは1回忘れて、とにかくACLに集中するのが大事。浦和の歴史にとっても大きな一戦になると思うので、必ずもう一度アジアチャンピオンになれるように頑張りたい」と素早く気持ちを切り替えていた。
 
 そんな武藤に「ACLとは、どんな大会か?」とストレートな質問を投げかけると、率直な想いを打ち明けてくれた。
 
「ACLはJリーグよりレベルが高いと思います。球際の激しさや強さを感じられる大会で、Jリーグにはいないような世界基準の選手がいたり、どこのチームにもすごいFWがいる。また国と国をかけて戦っているところに球際の厳しさも出てくるのかなとも思いますし、やっていてすごくドキドキするというか、充実感をもって戦えます」
 
 もちろん、「リーグにも集中」している。ただ、「Jリーグは普段から対戦している相手で、だいたい顔を見れば誰か分かる」。いわば、日常だ。

 一方、ACLは「相手も基本的には分からなかったりする。やってみたらとんでもない選手もいます。そういう難しさもあるので、日常とは違うピリピリ勘はありますね。環境も違いますし、アウェーを感じられる大会なので、そういう部分でも違う」という非日常。「戦っているな」と強く感じられる分、「勝った時の気持ち良さは大きい」のだという。
 
 もっとも、勝たなければ、その「気持ち良さ」も味わえない。対戦相手のアル・ヒラルは未知数な部分の多いチームだが、武藤の頭のなかには試合のイメージができているようだ。
 
「堀さんに(監督が)変わってから、チーム全体の守備意識は高まっている。望んでいるわけではないですが、上海戦のように守らなければいけない展開になっても問題ない。あの試合は、みんなの守備意識が高く、球際も厳しくできていた。決勝ともなれば1点の重みもすごく大きくなってくるので、また上海戦のような集中力や意識が必要。あれができたからこそ、自信をもって戦えると思います」
 
 まずは守備を固めて相手に隙を与えない。オスカールやフッキといったブラジル代表クラスの選手を封じた、上海上港戦のような手堅い試合運びが武藤の理想だ。
 
 アウェーでの第1戦を失点ゼロで切り抜けられれば、アジアの頂点はグッと近づくだろう。「選手もサポーターも気持ちは一緒だと思うので、とにかくACL決勝に向かって力を出し切るだけ。まずはアウェーですが、必ず良い結果をもって浦和に帰ってこられるように頑張りたいと思っています」と語る背番号9の奮闘に期待したい。

取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストweb)
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