【釜本邦茂】なんで杉本の高さを使わないの? 日本はもっとシンプルに個性を活かせ!

2017年11月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

「奪いに行く」守備はまずまずできていた日本だが…。

攻守両面で課題が出た日本の戦いぶり。ベルギー戦も0-1ながら明確な差があった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 欧州遠征の第2戦、ベルギー戦は結果こそ0-1の惜敗で、「善戦」という言い方もできるけど、内容的に差があったのは事実で、そこに目を向けないわけにはいかないだろう。
 
 まずはディフェンスだ。FIFAランクで5位のベルギーを相手に最少失点に抑えたんだから、評価すべきだという声もあるかもしれないが、その失点の仕方がまずかった。密集地帯をドリブルでスイスイ突破されて、最後は高さのあるルカクに注文通りのヘディングシュートを決められた。このシーンで日本の選手たちは、突破を仕掛けたシャドリをあまりにも自由にさせ過ぎていた。
 
 日本は立ち上がり、ブラジル戦と同様に相手のシステムにうまくはめ込む形で、激しいプレッシングを仕掛けた。それがハマった時には高い位置でボールを奪って、そのまま相手ゴールに向かうという攻撃もできていた。つまり、前線から「奪いに行く」守備はまずまずできていた。
 
 一方で問題なのは、自陣に押し込まれた時の対応だ。「奪いに行く」守備と違って、簡単に飛び込んでかわされるわけにもいかないから、しっかりと身体を寄せて、「前を向かせない、遅らせる」ことが必要になる。日本はこの守備がきっちりとできずに隙を作ってしまった。失点シーンは、それを象徴するものだった。
 
「奪いに行く」守備というのは、読みの鋭さや俊敏な動きが要求される。これは日本の選手も得意とするところだけど、逆に「前を向かせない、遅らせる」といった守備は素早い寄せと同時に、しっかりと身体をぶつけていくというフィジカル的な要素も求められる。これがやはり日本の選手が苦手とするところだ。
 
 もちろん、フィジカルの差はもともとの体格差もあるし、簡単に埋まらないことは分かっているが、3、4人の選手がしっかり揃っているところをあっさり抜けられてしまうのは、それ以前の問題でもあるだろう。個のぶつかり合いや高さで不利を強いられるのであれば、やはり個々が局面できっちりと戦うとともに、組織でも粘り強く対応していかなければならない。このふたつが揃って、良い守備ができるんだ。
 
 もう、何十年とずっと言われ続けてきた当たり前のことだけど、この状況が変わることはないんだから「鉄則」を緩めてはいけないよ。
 

次ページ攻撃的な選手を入れてアクセントが加わるのかと思っていたら…。

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