【番記者通信】振る舞いが語る「注目の2人」の去就|チェルシー

2014年05月02日 ダン・レビーン

悔しがるチームメイトを尻目に…。

トーレスの心はすでに古巣に? ゴール後のリアクションから読み取れたのは――。 (C) Getty Images

 同じ11人なのに、まるで大人と子供のようだった。大人だったのは、もちろんアトレティコ・マドリーの11人だ。
 
 アトレティコに完敗を喫したチャンピオンズ・リーグの準決勝。改めて振り返ってみると、フェルナンド・トーレスとティボー・クルトワの振る舞いが、もっとも印象に残っている。去就が取り沙汰される2人は、これからどうなるのか。それが読み取れたのは、私だけではないだろう。
 
 チェルシーの唯一のゴールを挙げたトーレスは、ぎこちなかった。貴重な先制点なのに、セレブレーションはひどく控え目だった。試合後は悔しがるチームメイトを尻目に、アトレティコのファンに拍手を送っていた。
 
 チェルシーファンとトーレスの関係は複雑だ。彼らは、表立ってはこのスペイン代表ストライカーを愛している。ブルーズ(チェルシーの愛称)の一員としては、大した結果を残していないにもかかわらず、つねにサポートしてきた。試合後のパブで批判めいた話をしても、スタンドでは喉を嗄らしてトーレスの名前をチャントする。
 
 しかし、アトレティコ戦でのトーレスの態度は、さすがに物議を醸した。とくにソーシャルメディアで、大きな議題として取り上げられているのだ。
 
 一方のクルトワだ。2試合を通じて目立った活躍はなかったものの、ガリー・ケイヒルのシュートを阻止したセービングで、ワールドクラスの片鱗は見せつけた。
 
 試合直後、クルトワは仲間と勝利を祝福した。だが、すぐに歓喜から冷めやり、チェルシーの"チームメイト"と抱擁を交わした。クラブ関係者とも抱き合い、チームドクターのエバ・クメイロの頬にはキスをしている。そして、ピッチを離れる際は、アトレティコのファンだけではなく、チェルシーのファンに向けても拍手を送った。
 
 ご存じのように、クルトワの保有権はチェルシーが持っている。アトレティコにはレンタルで在籍中で、今シーズンが3年目。その去就が毎年のように取り沙汰されている。
 
 トーレスの古巣復帰、クルトワのレンタル復帰が、現実味を帯びている。2人の振る舞いからはそう読み取れた。
 
【記者】
Dan LEVENE|Fulham Chronicle
ダン・レビーン/フルアム・クロニクル
チェルシーのお膝元、ロンドン・フルアム地区で編集・発行されている正真正銘の地元紙『フルアム・クロニクル』のチェルシー番。親子三代に渡る熱狂的なチェルシーファンという筋金入りで、厳しさのなかにも愛ある筆致が好評だ。
 
【翻訳】
松澤浩三
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事