C大阪監督が果たした17年越しのリベンジ「クラブの新しい歴史ができた。もちろん、僕自身にも」

2017年11月04日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

クラブ史に名を刻んだ指揮官が明かす、今のC大阪の強みは?

ピッチサイドからチームを鼓舞し続けたC大阪の指揮官ユン・ジョンファン。 (C) SOCCER DIGEST

[ルヴァン杯決勝]C大阪 2-0 川崎/11月4日/埼玉
 
 記者会見場に入ってきた時の表情が充実ぶりを物語っていた。

 クラブ史上初の戴冠を成し遂げたセレッソ大阪のユン・ジョンファン監督は、開口一番「この場所まで来るのは平坦な道ではなかった」と語り、「選手たち全員が本当に素晴らしい。『ありがとう、ご苦労さん』と言いたい」と、90分を走り切った戦士たちを労った。
 
「平坦な道ではなかった」――その言葉から滲み出るのは、かつて川崎に辛酸を嘗めさせられた"あの日"から抱き続けてきた想いだ。
 
 あの日とは、2000年5月27日、J1リーグ・ファーストステージ15節。C大阪は川崎に僅差(1-2)のVゴール負けを喫し、横浜F・マリノスに抜かれて勝点1差でファーストステージ王者になりそびれていた。
 
 その当時、C大阪の一員としてプレーしていたユン・ジョンファン監督は、「あの時の記憶が僕にはあった」とこぼす。
 
「川崎と言えば、17年前を思い出す。あの時も優勝を目の前にして逃してしまった。それを17年経った今日やり返すことができた。今日でC大阪の新しい歴史ができたと思う。もちろん、僕自身にも」
 
 17年越しのリベンジを成し遂げ、C大阪のクラブ史に名を残した韓国人指揮官は、「大勢のファンの前で戦うのは楽じゃなかった」と、終始、川崎に攻め込まれながらも耐え抜いた試合を総括する。
 
「平常心を保つのは簡単ではなかった。今日はそういう精神的な部分で相手を上回れた。相手の隙を上手く突くことができ、得点に結びついた。それがポイントだった。本当はもっとボールを保持して試合を進められたらと思ったが、守備的になってしまった。それでも最後まで堅守を維持できたことはチームワークの賜物だったと思います」
 
 規律を重んじる指揮官が強調したように、今のC大阪の強みは団結だ。今大会では、『俺たちのルヴァンカップ』という合言葉のもと、「ルヴァン組」と言われるメンバーが、奮起してきた。ターンオーバー制を採用したユン・ジョンファン監督は、チーム内での変化を話している。
 
「リーグ戦とカップ戦のメンバーは完全に分けて戦ってきた。だから今日のメンバーも迷った。けど、タイトルを獲るために必要な犠牲だった。リーグ戦でキツい時にカップ戦のメンバーが頑張ってくれたことがチーム内で刺激になっていて、全選手の抱く姿勢が良いものになってきている」
 
 埼玉に季節外れの桜を咲かせ、凱歌を上げた指揮官は「僕は幸せなチームにいる」と表情を緩めた後に、次なる戦いへと気を引き締めた。
 
「まだ天皇杯もありますし、これで決して終わりではない。リーグも3位以内を目指せる位置にいる。最後の最後まで集中してシーズンを終えたい」
 
 その鋭い眼光が見据える先に何があるのか? 難敵を下し、念願のタイトルを掴んだユン・ジョンファン監督率いるC大阪の躍進はまだまだ続きそうだ。

取材・文:羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWEB編集部)

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