マドリー相手に衝撃の2発! “悪童”デル・アリが禊の圧巻パフォーマンス!

2017年11月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

「出場停止マニア」もサポーターは惜しみない愛情を注ぐ

ビッグバウトで滅法強いアリ(右)が面目躍如の2ゴール。全得点に絡む活躍で、マドリー撃破の立役者となった。(C)Getty Images

 聖地ウェンブリーを熱狂の渦に巻いたのは、イングランド代表の若き大黒柱だ。
 
 11月1日のチャンピオンズ・リーグ4節、トッテナム・ホットスパーvsレアル・マドリーの大一番は前者が3-1の快勝を収め、早々にグループステージ突破を決めた。チームに3ポイントをもたらした最大の殊勲者が、2列目に入ったデル・アリだ。
 
 27分、右SBキーラン・トリッピアーの完璧なグラウンダークロスを中央で押し込み先制点を決める。さらに56分には鋭く中央をドリブルで駆け抜け、カゼミーロのマークを振り切りゴール前20メートルから右足を一閃、ボールはセルヒオ・ラモスにディフレクトしてゴールに吸い込まれた。65分、電光石火のカウンターの起点となって3点目に絡むと、78分には惜しいフリーヘッダーを放ってあわやハットトリックという場面も。ハリー・ケイン、クリスティアン・エリクセンとの強力トライアングルを炸裂させ、まさに獅子奮迅の働きを見せた。
 
 試合後のフラッシュインタビューで、こう語っている。
 
「チームの出来はファンタスティックだったね。ソリッドな守備から何度もチャンスを奪えたのは、すべて周到なゲームプランがあったから。だから結果には驚いていないよ。(3節の)ベルナベウでも十分にやれていたからね。もう僕たちは、こうしたビッグクラブとどれだけ競えるかではなく、どうやって勝つかというところにまで来たんだ。2点も取れて良かったけど、チームが勝てたことのほうが嬉しい」
 
 実は今回のマドリー戦が、今シーズンのチャンピオンズ・リーグ初登場だった。昨シーズンのヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦・ヘント戦(第2レグ)で危険な両足タックルを相手選手に見舞い、一発退場。UEFAから3試合の出場停止処分を食らっていたからだ。プレミアリーグでも相手選手への暴行で開幕から3試合に出場できず、イングランド代表戦においても試合中の中指を立てるジェスチャーでFIFAから1試合の出場停止を言い渡された。いまやイングランドきっての悪童として名を馳せてしまっている。
 
 とかく批判の的になりやすいアリだが、ひとたびピッチに立てば眩いばかりの輝きを放つ。かつて素行が悪くヤンチャながら圧倒的な技巧を誇り、愛くるしいキャラクターでトッテナム・サポーターに愛されたポール・ガスコインのように、スパーズ(トッテナムの愛称)に熱狂と歓喜を運んでいる。本人は「感情を抑え切れないのは僕の大きな欠点。チームに迷惑を掛けてしまって申し訳なく思っている。もう馬鹿げたことはしないよ」とコメント。この弱点さえ克服すれば、おのずとワールドクラスへの道が開かれるはずだ。
 
 マドリー戦で鮮烈のパフォーマンスを披露した21歳の俊英。イングランドの国内外で、その声価をさらに釣り上げた。
 
 
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