ピクシーがW杯で指揮を執る? セルビア代表監督の後任候補に急浮上!

2017年10月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

功労者を電撃解任! ミリンコビッチ=サビッチとの確執も原因か

風雲急を告げているセルビア代表チーム。祖国の英雄ストイコビッチ(写真)の登板はあるのか。レジェンドは中国の広州富力と長期契約を結んでいるが……。(C)Getty Images

 10月30日、セルビア・サッカー協会(FSS)が衝撃の文書をリリースした。
 
「FSSは代表チームの監督であるスラボリュブ・ムスリンと、双方合意の下で契約を解除した。後任が正式に決まるまでは、アシスタントコーチのムラデン・クルスタイッチが暫定的に指揮を執る」
 
 同国出身のムスリン監督は、2016年5月に就任。ブラジル・ワールドカップ、フランス開催のEURO2016と立て続けにメジャー大会出場を逃していた母国代表チームを見事に立て直した功労者だ。アイルランド、ウェールズ、オーストリアと鎬を削ったロシア・ワールドカップ予選で堂々のグループ1位突破。母国を2大会ぶり12回目の本大会出場(旧ユーゴスラビア、セルビア・モンテネグロ時代を含む)に導き、11月中旬の中国、韓国とのテストマッチ2連戦でリスタートを切る予定だった。
 
 セルビアの全国紙『Novosti』は、FSSとの協議を終えて出国しようとしていたムスリンを直撃。前代表監督は手短かにこうコメントした。
 
「残念ながら袂を分かつことになった。我々はロシアでのワールドカップに向けて、同じ方向性を持ちえなかったんだ。それでは十分には戦えない」
 
 契約解除の明確な理由については語られなかったが、国内有力ウェブサイトの『Alo』は「グループを1位で突破したとはいえ褒められたチームパフォーマンスではなかった」としたうえで、「代表チームの近未来を担うミリンコビッチ=サビッチとの確執が影を落としたのかもしれない」と推測した。
 
 現在ラツィオで活躍する22歳のセルビア人MF、セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ。スケールの大きさが売りのボランチは、ムスリンが代表監督になったばかりの頃、試合に出場できないことに不満を爆発させ、指揮官に直訴した。口論の末にチームの合宿所から去った。以降何度か招集されているが、いまだA代表デビューは果たせていない。ベテランに偏りがちな選手起用を含め、そうしたムスリンのマネジメント能力に対して、FSSが不信感を募らせていたというのだ。
 
 さらに『Alo』は、「後任の有力候補に挙がるのはドラガン・ストイコビッチだ」と報じている。だがその一方で、現在中国スーパーリーグの広州富力で指揮を執る"ピクシー"の招聘には大きな障壁があるとした。「彼は中国のクラブと(2020年までの)長期契約を結んでいる。引き抜くのは容易ではない。加えて彼は、500万ユーロ(約6億5000万円)とも言われる高額年俸を得ているからだ」と説明している。
 
 ワールドカップ出場を決めたにも関わらず、風雲急を告げているセルビア代表チーム。感情的になりやすいバルカン気質ゆえのお家騒動である。
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