【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|試合巧者への道。セットプレーの成否が勝敗を分ける

2017年10月26日 渡邉 晋

勝ち切れない現状は真摯に受け止めなければならない。

清水戦ではチャンスは作れていた。「進歩したんだ」とポジティブに捉えてもいいはずだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第29回。テーマは「セットプレー」だ。J1リーグ30節では、引いて守る選択をした清水を相手に、シュート17本を浴びせながらも無得点。チャンスを多く作ったものの、ゴールも勝利も遠かった。
 
 そんななか、「24本もあったセットプレーを生かせれば」という想いが渡邉監督にはある。では、そのために何をすべきなのか。試合内容に触れながら、今後のプランなどをざっくばらんに話してもらった。
 
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[J1リーグ30節]仙台 0-0 清水/10月21日(土)/ユアスタ
 
 ベガルタが自陣で堅固なブロックを敷き、カウンターで得点を狙う。少し前までならよくある光景だっただろう。しかし、この試合では立場が逆転した。清水が我々を相手に最終ラインの裏のスペースがほとんどなくなるほど引いて待ち構えていた。ある意味で、自分たちがやり続けているサッカーが認められている証拠だろう。
 
 相手守備網を崩せずに勝点3を奪えなかったのだから、攻撃面での反省点は多い。ただ、半年前に同じような形で守られたらシュートすら打てなかったのではないか(今回はシュートを17本放った)。チャンスは作れていたし、「進歩したんだ」とポジティブに捉えてもいいはずだ。
 
 もちろん、ルヴァンカップを含めて、最近の公式戦で勝ち切れていない現状は真摯に受け止めなければならない。どういう形であれ得点して、勝利したかった。そう考えると、24本もあったセットプレー(FKが19本、CKが5本)をものにできなかったのが痛恨だった。
 
 前半から良い位置でのFKが少なくなかったが、これは仕掛けている証だ。その積極性や大胆さをセットプレーにおいても、もっと持って良かった。丁寧にいこうとする気持ちが強く、動きが縮こまってしまっては、いくらセットプレーが多くてもゴールを陥れるのは難しい。
 
 トレーニング方法を変えてみようか、というのが試合を終えての感想だ。うちは試合前日にセットプレーの練習を行なうのだが、例えばゲーム形式でプレーをさせている最中に笛を吹いて流れを止め、強制的に組み込むのもいいかもしれない。

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