【現地発】レスター再起に必要不可欠と証明された岡崎慎司の「細胞」

2017年10月23日 山中忍

下位低迷を招いたオーナーの高い理想。

今シーズンのプレミアリーグでは早くも4ゴール目をマークし、自己最高のシーズン5ゴール目に迫る岡崎。その好調さでレスターを浮上させられるか? (C) Getty Images

 元イングランド代表FWのガリー・リネカー曰く「未熟」な経営陣の下、レスターは昨シーズンに続いて監督を途中解任した。
 
 彼らの振る舞いは、降格の臭いが漂い始めたら、周囲を驚かせる監督解雇と、誰も驚きはしない原点回帰をすればそれで良し、とでも考えているかのようであり、レスターOBでもあるリネカーの言葉は言い得て妙だ。
 
 昨シーズンのクラウディオ・ラニエリといい、今シーズンのクレイグ・シェイクスピアといい、下位低迷を招くきっかけとなった、持ち駒的に無理のあるポゼッションと攻撃を意識した戦術は、現有戦力の能力を超えた高い理想を求めるオーナーの願望が背景にあるのかもしれない。
 
 シェイクピア解任後の初戦となった、10月21日のプレミアリーグ9節のスウォンジー戦(〇2-1)で改めて披露されたように、レスターのサッカースタイルの本領は、4-4-2か4-4-1-1システムを基本に繰り出される、シンプルかつスピーディーなカウンターでこそ発揮される。
 
 そのスタイルの中で最大限に活かされるのが、主砲のジェイミー・ヴァーディーと、魔術師のようなテクニックを有するウインガーのリャド・マハレズである点も、一昨シーズンのプレミア優勝達成当時から変わらない。
 
 同時に、カウンター・スタイルを踏襲し続けるためのキーマンは、今も岡崎慎司である。
 
 助監督から暫定監督となったマイケル・アップルトン体制の初陣を勝利で飾ったスウォンジー戦は、奇しくも前節のWBA戦(△1-1)でケレチ・イヘアナチョにスタメンを譲った岡崎の、先発復帰戦ともなった。
 
 内心は悔しかったはずの前節の後には、「もう慣れていますから(笑)」と言ってレスターでの、ある種の「免疫」を強調していた岡崎だが、レスターが本領を発揮したスウォンジー戦では、彼の「細胞」が必要不可欠であることが証明された。
 
 しかし、この一戦の後に脚光を浴びたのはマハレズだった。英国メディア『スカイスポーツ』は、マン・オブ・ザ・マッチに選出。さらに『BBC』のハイライト番組も、高速クロスで相手のオウンゴールを誘発し、ワンタッチで岡崎の得点であるチーム2点目を演出したアルジェリア代表MFを中心に構成されていた。

次ページどれだけ監督が代わろうと変わらない事実。それは――。

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