【番記者通信】「50パーセント」でも際立ったクリスチアーノの重要性|R・マドリー

2014年04月25日 パブロ・ポロ

歓喜にほころぶ顔ではなく…。

カウンターから奪ったベンゼマ(右)の決勝点は、C・ロナウド(左)のスルーパスが起点に。試合を決定づける大エースの面目躍如だ。 (C) Getty Images

 水曜日の夜、試合後のサンチャアゴ・ベルナベウ。試合は1-0でマドリーがバイエルンを破った。マドリーの選手たちの嬉しそうな顔を想像してミックスゾーンに足を運ぶと、そこにあったのは、歓喜にほころぶ表情ではなく、引き締まった顔だった。彼らはこんなふうに考えていた。
 
「たしかに先勝したが、ドルトムント戦の第2レグのようなプレーをすれば、この勝利の意味はなくなる」
 
 ドルトムントとの準々決勝で、マドリーはアウェーの第2レグで0-2の完敗を喫している。その二の舞は演じられない。選手たちは、実際にそう言い合っていたという。
 
 もちろん、ポジティブな空気も流れている。ポゼッションでは敵わないと割り切っていたが、試合が終わるころには対等に渡り合えていた。後半はバイエルンを上回る内容さえ見せている。相手に対する畏敬の念は、消え去っていた。作った決定機は3つ。ミュンヘンで手にするであろう4つ目の決定機を絶対に外してはならない。
 
 ジョゼ・モウリーニョ監督(現チェルシー)の下で戦った三度の準決勝は、いずれも第1レグを落とし、そして敗れ去っている。3年続いたそのパターンは、少なくとも覆した。
 
 第2レグ(4月29日)を前に、言っておきたいことがふたつある。ひとつは、「アンチェロッティはビッグゲームに勝てない」という、間抜けな批評家たちの言葉を信じるなということ。実際、アンチェロッティはもっとも重要な2試合で勝っているではないか。バルセロナと戦った国王杯決勝と、そう、このCL準決勝・第1レグだ。
 
 もうひとつは、50パーセントのコンディションでありながらも際立っていたクリスチアーノ・ロナウドの重要性だ。クラブが、ガレス・ベイルを次世代のスターにしようとしていることに、クリスチアーノは不満を抱いているとの声が聞かれる。しかし、この第1レグでも、試合を決定付けたのはクリスチアーノだった。カリム・ベンゼマの決勝ゴールの起点となったのは、ファビオ・コエントラン(クロスでベンゼマをアシスト)に送ったクリスチアーノのスルーパスだ。
 
 ミュンヘンでの第2レグ、クリスチアーノとベイルは揃ってスタメンのピッチに立つだろう(第1レグはベイルはベンチスタート)。どちらかが1点を奪えば、それはデシマ(スペイン語で10の序数。ここでは10回目のCL制覇を指す)に向けた大きな1点になる。
 
【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。
 
【翻訳】
豊福晋
 
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