「彼はバルサに行きたがっていた」いまだから話せるエムバペ争奪戦の顛末と真相

2017年10月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

夢の実現を阻んだのはバルトメウ会長だった…

空前の争奪戦を経て、新天地パリSGに移籍したエムバペ。ここまで公式戦10試合に出場し、4得点・4アシストと早くも本領を発揮している。(C)Getty Images

 夏に空前の争奪戦が繰り広げられ、最終的にモナコからパリ・サンジェルマンへの期限付き移籍を果たしたキリアン・エムバペ。来夏に1億8000万ユーロ(約228億円)で完全移籍することが決定済みだ。
 
 複数のメガクラブが参戦し、さまざまな憶測と噂を呼んだ大騒動。エムバペ側の仲介役を務めたジョゼップ・マリア・ミンゲラ代理人がその顛末と舞台裏を、スペインのラジオ局『COPE』のインタビューで明かした。エムバペ自身が切望していたのはバルセロナ行きで、カタルーニャの巨人はグロスで1億5000万ユーロ(約190億円)の資金を用意していたという。
 
「まずネイマールのパリ行きが決まった時点で、エムバペは父親に相談した。そこで彼はカタルーニャのクラブとの契約を希望したんだ」
 
 ミンゲラ代理人はすぐさまバルサ側にその旨を通達。「するとバルサは、1億2000万ユーロ(約151億円)に3000万ユーロ(約39億円)のインセンティブを付け加えたよ。エムバペの父親に伝えると、彼もバルサ移籍を望んでくれた。選手本人は心底、バルサに行きたがっていたね。『僕はリオネル・メッシと一緒にプレーしたい』と語っていた」
 
 だが、交渉は決裂した。立ちはだかったのはほかでもない、バルサのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長だった。
 
「話はバルトメウのところで止まってしまった。彼とは旧知の間柄だ。率直な意見を言わせてもらったよ。『ネイマールの退団が決まった。ならばバルサはエムバペを獲るべきだ』とね。それでも彼は、首を縦には振らなかった」
 
 バルサは並行して動向を追っていたウインガーを獲得した。ボルシア・ドルトムントのウスマンヌ・デンベレだ。移籍金は1億500万ユーロ(約133億円)で、こちらのボーナスは4000万ユーロ(約51億円)に設定されている。エムバペのために準備したとされる資金とほぼ同額だ。
 
 では、もうひとつの有力候補であるレアル・マドリーについてはどうだったのか。ミンゲラ代理人は「最終的には選択肢にさえならなかった。彼らはクリスチアーノ・ロナウド、ガレス・ベイル、カリム・ベンゼマのうちひとりも売るつもりがなかったからね」と答えた。定位置確保がままならないマドリーは、移籍先から除外したというのだ。
 
 結果的にパリSGに入団したエムバペだが、周知の通り、新天地でも輝きを放っている。ネイマール、エディンソン・カバーニとの3トップはさっそく「MCNトリオ」と謳われ、リーグ・アンだけでなくチャンピオンズ・リーグでも猛威を振るっているのだ。
 
 そんなエムバペを擁するフランス王者は日曜日、日本代表DF酒井宏樹が先発予定のマルセイユとのビッグゲームを戦う。両雄とも上位に付ける中で行なわれるフランス版ナショナルダービーに、俄然注目が集まっている。
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