テレビ解説者をボコボコにしたシオンの名物会長に、スイス協会がついに厳罰を!

2017年10月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

3、4発のビンタに加え、尻と背中には蹴りを

シオンのコンスタンティン会長。ときにベンチ入りもする熱血リーダーが、14か月間のスタンド外観戦に耐えられるのか。(C)REUTERS/AFLO

 ヨーロッパ中を驚かせた暴行事件に対して、厳罰が言い渡された。
 
 9月21日のスイス・スーパーリーグ8節、FCシオン対ルガーノ戦。ホームの前者が2-1で勝利した試合の直後に、あり得ない事件が起こった。シオンの名物会長、クリスティアン・コンスタンティン氏が、テレビインタビューの準備をしていた解説者のロルフ・フリンガー氏に近づき、殴る蹴るの暴行を加えたのだ。
 
 なぜそんな暴挙に及んだのか。コンスタンティン会長は暴行した直後に報道陣の取材に応え、「あいつ(フリンガー氏)は番組で俺を愚弄した。それについて話し合ったが、結果的に尻を蹴ってやったよ。最高だったね! やられたんだから、あいつもやり返せばよかったんだ」と言い放った。
 
 スイス人のフリンガー氏はかつてスイス代表、シュツットガルト、グラスホッパーなどで監督を歴任した人物で、現在はスイスのテレビ局『Teleclub』で人気解説者となっていた。ルガーノ戦直前の番組で同会長の横暴なマネジメントを揶揄する発言をし、恨みを買っていたようだ。フリンガー氏の証言によれば、「最初は息子が因縁をつけてきて、それからコンスタンティンがやってきた。3、4発ビンタを食らったよ。私はマイクを手に持っていたし、なにも反撃しなかったんだけど、彼は執拗に攻撃してきた。私が足を滑らせると、『ただじゃおかないぞ!』とかなんとか言いながら、今度は尻や背中を蹴ってきたんだ」と回顧した。
 
 翌日もコンスタンティン会長は『SDA』通信に「名誉棄損でフリンガーとテレビ局を告訴する準備がある」と話すなど反省の色はなし。だがその一方で、シオン・オリンピック招致委員会の副会長の座を辞した。2026年の冬季五輪招致を目ざす同委員会にとって、スキャンダルは致命傷。さすがに「これはマズイ」と感じてのリアクションだったのだろう。
 
 国内の大手建設会社を経営し、2003年にシオンを買収。極端なまでのワンマンぶりを発揮してきた。現場介入は日常茶飯事で、挿げ替えた監督の首は数知れない。移籍市場のルールも平然と破り、UEFAから制裁を食らったこともある。だがさすがに暴力沙汰までは……と、スイス国民にとっても衝撃の事件となった。
 
 この暴挙に対してスイス・サッカー協会はすぐさま調査に乗り出し、10月12日に声明を発表。「本来フェアプレーの模範となるべきトップが犯した愚行であり、断じて許されない」とし、14か月間のスイス国内における公式戦会場への入場禁止と、10万スイスフラン(約1150万円)の罰金を課した。『SDA』通信は「コンスタンティン会長は不服を申し立てることができる」としており、スイス国内の大多数のメディアは、同会長がすんなり裁定を受け入れるとは考えていない。騒動は長期化の様相を呈している。
 
 なおスイス協会は、最初にフリンガー氏に近寄った"息子"についても調査を継続中だと発表した。同クラブのスポーツディレクターを務めているバーセレミー・コンスタンティン氏で、こちらも父親譲りの激情家として有名な人物だ。
 
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