「中途半端なテスト」だったNZ戦、ハイチ戦ではより積極的なトライを!

2017年10月09日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

スタメンも交代カードの切り方も親善試合とは…。

NZ戦は途中出場で存在感を放った小林(右上)と倉田(左上)、そして杉本(左下)はハイチ戦で先発で見たい。車屋(右下)は初キャップに期待。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 10月6日のニュージーランド戦のスタメンが発表されたとき、豊田スタジアムのメディアセンターでは「あまり試さないんだね」、「代わり映えしない」、「けっこうガチだな」などという声がそこかしこから聞こえた。
 
 最後尾の川島永嗣をはじめ、吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹、香川真司、山口蛍、大迫勇也と主力の名前が並び、本田圭佑と長谷部誠が招集外だった前提に立てば久保裕也と井手口陽介の起用も想定内。テスト色が強かった人選は槙野智章と武藤嘉紀の2人だけだった。
 
 ワールドカップ出場権獲得後で初の親善試合であり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も招集メンバー発表時に「ロシア行きへのサバイバル」を煽っていただけに、やや肩透かしのスタメンだったと言わざるをえない。
 
 後半に小林祐希、杉本健勇、乾貴士、浅野拓磨、倉田秋、遠藤航を投入して6枚の交代枠を使い切ったとはいえ、プレータイムは最長で小林と杉本の30分間。遠藤にいたってはピッチに送り出されたのがアディショナルタイムになってからだった。1-1に追いつかれたから中盤と前線を入れ替えて攻撃に変化を付け、勝ち越し後の試合終了間際に守備力の高いMFを入れるという采配は、サッカーにおけるほぼ常套手段だ。
 
 長谷部、本田、岡崎慎司のベテランが呼ばなかった中、同じく経験豊富な川島、吉田、長友、香川などを一気に外せば、チームの骨格やコンビネーションが崩れ、「新しい選手が多いとハイレベルに戦うのが難しくなる」という指揮官の懸念も理解できる。「ただ、そういった形でも勝たなくてはいけない」と、テストマッチとはいえ勝利の重要性をハリルホジッチ監督は強調してもいる。
 
 そもそも言うまでもなく出場機会とは、監督が与えるものではなく、選手が勝ち取るものだ。しかし、ハリルホジッチ監督は試合後の会見でこう語っていた。
 
「今年(10月と11月の4試合)は、たくさんの選手を見て、それぞれが何をできるかを見極めていきたいと思う。3月以降はメンバーやプレーの仕方がより固定されていくだろう。今のところはより多くの人数を見て、最終的に誰がこのチームに残るのかを見極めたい」
 
 ニュージーランド戦でこの言葉ほど試したとは言えないだろう。中途半端な印象が否めない。チームの骨格を崩さずに新戦力を試すのがテストマッチの意義だとしても、最長で30分程度のプレータイムで新戦力を「テストした」と言えるのか。しかも主力が怪我、不振、出場停止などに見舞われた時のバックアップが十分とは言えないポジションが少なくないのにだ。

次ページとりわけオプション不足の守備陣のトライを。

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