名波監督も感服する“練習の虫”中村俊輔。J24本目のFK弾にも「勉強になりました」

2017年09月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ああいうことが起こったのは僕自身初めて」

大宮戦でJリーグ24本目のFKを決めた中村俊。今季通算4ゴール目となった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ27節]磐田 2-1 大宮/9月23日/ヤマハ
「え? 俺の? 俺なんだ」
 
 中村俊が、前半の先制点が自分のゴールだと知ったのは、試合後のインタビューで『ご自分のゴールを振り返ってください』という質問を受けた時だった。
 
 自身が持つJ1最多記録を更新する24本目の直接FK弾は、ちょっとした珍事に彩られたことで、サポーターにとっても自身にとっても、より記憶に残るものとなった。
 
 先発出場を続け、毎試合90分間の総走行距離でチームトップを争う39歳は、この日もキレのある切り返しや、狭いエリアで囲まれても難なくキープするテクニックで相手を翻弄した。"俊輔劇場"で満員のスタンドを沸かせながら、何度も敵陣で相手のファウルを誘った。
 
 20分のFKも、自らが得たもの。放ったキックは、ゴール前に走り込んだ髙橋の足に当たり決まったように見えた。電光掲示板に得点者として表示されたのも、髙橋の名前だった。
 
 しかし、当の髙橋はゴール直後に掲示板上の自分の名前を見て、苦笑いをしながら腕でバツ印を出していた。
 
「触ったと言いたいけど、触ってないですね。正直者なんで」と、試合後に髙橋。
 
「俊さんの狙いが分かっていたので、前に走り込んだらどうなるかな、低い軌道だったので当たれば何か起こるかな、と思ったけど『スルー』しました(笑)」
 
 実際は、髙橋についた相手選手にわずかに触れたようだが、得点者はキッカーの中村俊と認定された。
 
 さらに、中村俊は低く速い弾道で、ワンバウンドしてゴール右隅に突き刺さった約30メートルのFKが、実はミスキックだったことを試合後に明かした。
 
「(試合前に)少しピッチを濡らしているので、ブレ球でダイレクトに狙うよりも、低いキックでバウンドさせてキーパーがとりづらいボールを、と。リバウンド(からのシュート)も狙えるように『全速力で詰めてくれ』と何人かに言っていたけど、キックは当たり過ぎてコースがズレてしまった。何と言うか、ああいうことが起こったのは僕自身初めてなので、勉強になりました」
 
 とはいえ、低く速いキックは、相手選手の意表を突くもの。ゴール前に詰めていた大宮の選手は反応できずに、天を仰いだ。状況を見て、相手にとって最も嫌な球種とコースを選ぶ力も、中村俊のFKの技量だ。
 

次ページ延々と壁蹴り、ゴールにFKを打ち込む姿に刺激を受けるチームメイトたち。

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