【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|セットプレーの前段階にこそ改善の余地がある

2017年09月20日 渡邉 晋

失点シーンでは駆け引きまで上回られてしまった。

セットプレーから失点し、FC東京に0-1で敗戦。ただし守備面ではここ数試合で一番メリハリが利いていた。写真:田中研治

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第25回。テーマは「セットプレー」だ。前節の鳥栖戦、そして今節と、チームはリスタートから失点を喫してしまった。その点を渡邉監督はどう受け取っているのだろうか。
 
 FC東京戦でゴールを許してしまったことやゾーンディフェンスに変更したきっかけ、現状での手応えなどを赤裸々に語ってもらった。
 
――◆――◆――
 
[J1リーグ26節]FC東京 1-0 仙台/9月16日(土)/味スタ
 
 FC東京は監督交代(9月10日に篠田善之氏が退任、安間貴義氏がトップコーチから昇格した)からの初ゲームで、非常に大きなパワーが生まれるタイミングだった。実際に相手のスプリント数は200回を超えるなど、直近4試合の映像とはまったく違うチームだった。
 
 ただ、安間さんが指揮を執ることで「こういうことをしたいのだろう」という予測は立てていて、戦い方も想定の範囲内ではあった。それに対して、守備面では前からプレスを掛けることに成功し、仮にそれを上手く剥がされても次善策が機能しており、ここ数試合で一番メリハリが利いていたと思う。
 
 CKから失点を喫して勝点を逃す結果となったが、締まった試合は得てしてセットプレーが分水嶺になる。あのシーンはCKが2本続いて、その2本目で得点を許したのだが、1本目に餌を撒かれていた。
 
 そこに食い付いて、先に動いたところをやられてしまった。相手の駆け引きの上手さ、そして餌を撒いた場所にピンポイントでボールを送るキック精度も持つ選手が相手には存在した。
 
 うちはゾーンで守っているのだが、「ゾーンディフェンスだから失点した」というわけではない。マンツーマンにしても、メリットとデメリットはあり、世界トップクラスの強豪であってもセットプレーに対するパーフェクトな守備を確立しているわけではなく、度々、ゴールネットを揺らされている。
 
 むしろ、CKそのものよりも前段階に注意を払いたいと考えている。今回のCK数は「1:6」。前述したが、6本のうち2本を続けざまに与えてしまった。そこに改善の余地はある。
 
 遡って考えるが、後半開始直後から失点するまでの約20分間はセカンドボールの奪取率は著しく低下し、押し込まれる展開となってしまった。そこでマイボールにできていれば、流れは変わっていたはずだ。
 
 では、なぜ前半と違って後半にセカンドボールを拾えなくなってしまったのか。それはFC東京の戦い方の変化にもあるような気がする。

次ページあまりナーバスになる必要はない。

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