【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|重要な6ポイントゲーム。制した意味は大きい

2017年09月12日 渡邉 晋

選手たちもかなり気合いが入っていた。

ゲームの重要性を説き、俗に言う「6ポイントゲーム」だと選手たちに話して鳥栖戦に臨んだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第24回。テーマは"直接対決"を意味する「6ポイントゲーム」だ。戦前の鳥栖との勝点差は5。中位以上に食い込むためにも、すぐ上の順位にいるチームとの対戦は大きな意味を持つ。どのような想いで臨んだのか。振り返ってもらった。
 
――◆――◆――
 
[J1リーグ25節]仙台 4-1 鳥栖/9月10日(日)/ユアスタ
 
 この試合前の時点でベガルタは勝点29の12位、鳥栖は勝点34の9位。だからこそ、試合前日からこのゲームの重要性を説き、俗に言う「6ポイントゲーム」だと選手たちに話して試合に臨んだ。
 
 勝てれば中位から上の順位に目を向けられ、もし負けたり、引き分けたりしたら再び下のチームを気にしながら過ごさなければいけなくなる。ルヴァンカップの準々決勝で鹿島を下して勝ち抜けた自信、そして勢いを持続させるためにも大切な一戦だった。
 
 また25節の札幌戦で敗れていた(0-1)だけに、重要度は一層高かったと言える。残り10試合を「まだまだある」と捉えるのか、「もうない」と思うのかでも違うだろう。加えて、9月唯一のホームゲームなので、サポーターが喜んでくれる試合を披露したいという想いも強かった。
 
「6ポイントの価値がある試合だ。試合が終わった後に『もっとやれたんじゃないか』と思うことのないよう、今ある力、エネルギーをすべて出し切ってくれ」とも話し、選手たちも気合いがかなり入っていたと思う。
 
 ただ、展開としては前半は苦労した。あまり良い形でボールを動かせず、自分たちの良さを鳥栖に上手く消されてしまった部分もある。
 
 そんな悪い流れでも得点できたのは意味があるし、後半にはしっかりと修正して、やりたいことを表現してゴールも奪えたのは素晴らしかった。ただ、最後の失点は余計だったかな。
 
 いずれにせよ、この勝利によって26節のFC東京戦で勝利すれば、ひと桁順位までジャンプアップする可能性が出てきた。勝点3を積み上げたことで「上位にチャレンジする資格を得た」とも言えるかもしれない。
 
 そういった機会を自分たちで手繰り寄せられるのか、それとも上が落ちてくるのを待つのかではかなり違う。能動的にチャンスを掴むと、「やるぞ!」とポジティブな状況にすることができる。

次ページしっかり気を引き締めて次戦に向かう。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事