【番記者通信】3連勝で上昇気流。EL出場権に手は届く?|ミラン

2014年04月10日 レナート・マイザーニ

残り6試合で勝点4差は、逆転が可能な範囲内だ。

ジェノアに勝って3連勝のミラン。EL出場権が見えてきた。 (C) Getty Images

 ジェノアに勝ったミランは3連勝。上昇ムードが芽生え、なによりヨーロッパリーグ(EL)出場権争いに加わったという意味でも、ここにきて大きい勝点9の加算だ。

 もっとも、ELには冷めた見方をしているファンがいる。チャンピオンズ・リーグ(CL)ほど金銭的なうま味はなく、無駄に負担を強いるだけの大会でしかないと、そんなネガティブな捉え方だ。

 ミランは99-00シーズンから、ずっと欧州カップ戦に出場している。CLが13回、ELの前身のUEFAカップが2回。イタリアでもっとも“ヨーロピアンなクラブ”であり、その欧州の舞台に立たないことは、退化を意味するだろう。さらに、UEFAカップ時代を含めてELはミランにとって唯一手にした経験がないタイトルであり、その点でモチベーションになる。マネーではなく、プレステージそのものを大事にしてきたのが、ミランというクラブなのだ。したがって、クラレンス・セードルフ監督と選手たちは、最後までEL出場権を目指して必死に戦うはずだ。

 イタリアのEL出場枠は3で、セリエAの4位と5位、そしてコッパ・イタリアの優勝チームに与えられる。32節終了時点で、フィオレンティーナ(勝点55)、パルマ(50)、インテル(50)、ラツィオ(48)、ヴェローナ(46)、アタランタ(46)、ミラン(46)、トリノ(46)が4位から11位に並び、EL出場権を争っている。このうち、フィオレンティーナはコッパ・イタリア枠での出場が事実上確定で、残る2枠を7チームで争奪する構図だ。フィオレンティーナは、コッパ・イタリア決勝(5月3日)を残しているが、対戦相手のナポリがリーグ3位でのCL出場を事実上確定させているため、EL出場権を得られるというわけだ。

 出場権を争うライバルのうち、アタランタ、ヴェローナ、トリノは明らかに戦力的に劣る。最後まで食らいつく力はないはずだ。となると、ミランの相手はパルマ、インテル、ラツィオの3チーム。このうちインテルとパルマは調子が良くない。残り6試合で勝点4差は、決して簡単ではないが、逆転が可能な範囲内だ。

 残り6試合のうち4試合がホームゲームで、カターニャ(33節)、リボルノ(34節)、サッスオーロ(最終38節)と勝点3が計算できる相手が並ぶ。もう1試合はインテルとのダービーマッチ(36節)だが、直接叩いて勝点差を詰めるチャンスでもある。

 ポイントは、ローマ、アタランタと戦うアウェーでの2試合だ。とくに35節のローマ戦が、明暗を分ける大一番となりそうだ。もちろん、37節のアタランタ戦も、それまで相手が持ちこたえていれば、あの厳しい敵地アトレティ・アッズーリ・ディターリアでの直接対決となる。

 いずれにせよ、EL出場権の獲得は、失望ばかりだったシーズンのせめてもの慰めとなる。セードルフの4-2-3-1システムはやっと形になり、冬に獲得した新戦力のアデル・ターラブトと本田圭佑のパフォーマンスも上がってきた。あとは、マリオ・バロテッリが持てる能力をコンスタントに発揮すれば、欧州カップ戦の連続出場は継続できるはずだ。それは決して、些細な目標などではない。

【記者】
Renato MAISANI
レナート・マイザーニ
1985年カターニャ生まれ。2006年から地元紙やWEB媒体でキャリアを積み、ミラノに軸足を移して活動の場を拡げる。現在はイタリア国内の著名ポータルサイトの編集員。国外サッカーにも通じ、地元紙でフランス・リーグのレビューを連載中だ。

【翻訳】
神尾光臣
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