アルゼンチンの救世主に? イグアインの代役候補に浮上した来日経験もあるFWとは

2017年08月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

太陽の国メキシコで研鑽を積んだストライカー。

メッシ、アグエロ、ディバラ、イカルディとライバルは多いが、絶好調のベネデットであれば、欧州組からポジションを奪うことも可能なはずだ。 (C) Getty Images

 現地時間8月28日、アルゼンチン・サッカー連盟は、ロシア・ワールドカップ南米予選に挑む、27名の代表メンバーを発表した。
 
 今年6月にホルヘ・サンパオリ政権を発足させたばかりのアルゼンチン。今回の代表メンバーは、大黒柱のリオネル・メッシを筆頭にセルヒオ・アグエロやパウロ・ディバラ、アンヘル・ディ・マリアなど、いわば常連組が名を連ねるなかで、見慣れない名前も見られた。
 
 そのなかでもとりわけ目を引いたのが、ユベントスのエース、ゴンサロ・イグアインが選外となったFW陣で、新たに招集されたボカ・ジュニオルスのダリオ・ベネデットだ。
 
 現在27歳のベネデットは決してスター街道を歩んできたわけではない。母国の名門インデペンディエンテの下部組織に所属した12歳の時に母親を心不全で亡くし、レンガ職人として父親と共に働くことを余儀なくされるなど、サッカーキャリアを諦めようとした時期もあった。
 
 それでも、地元の友人とボールを追い続けたベネデットは、17歳の時にアルセルナルのリザーブチームのテストに合格。再びサッカー選手として歩みだし、2008年には同クラブでトップチームデビューを飾った。
 
 しかし、その後はなかなか芽が出ず、アルゼンチン国内のデフェンサ、ヒムナシアという下部クラブを渡り歩き、2013年の夏にはメキシコのティファナへ移籍する。そして、これがキャリアの転機となった。

 ベネデットは、この太陽の国で1年目から存在感を示す。国内リーグで12ゴールをマークして得点王争いにも絡むと、2014年の夏にはクラブ・アメリカへ移籍を果たし、得点源として活躍。2015年の12月には北中米カリブ王者の一員として来日し、クラブワールドカップでゴールも挙げた。
 
 2016年夏、メキシコで研鑽を積むベネデットに目を付けたのは、母国の超名門ボカだった。当時のボカは、主砲のカルロス・テベスが年明けの1月に上海申花へ移籍することが濃厚となっており、新たなストライカーの獲得に躍起となっていた。
 
 そして同年6月にボカに加入したベネデットは瞬く間にチームにフィット。持ち味の多彩な得点パターンを武器にテベス退団後も好調を維持し、国内リーグ25試合で21ゴールと荒稼ぎ。まさにMVP級の活躍でクラブにリーグタイトルをもたらしたのだ。

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