決勝ゴール演出の大久保嘉人がチームの攻撃に苦言…「焦ってすぐ蹴ろうと思っちゃうのはどうかな」

2017年08月14日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

相手の弱点を見抜いたうえでのプレーは実に効果的だった。

2試合連続ゴールとはならずも、88分に絶妙なスルーパスを室屋に通して決勝ゴールの起点になった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・22節]FC東京1-0神戸/8月13日/味スタ

 スコアレスで迎えた88分、大久保嘉人にようやく見せ場が訪れた。

 中盤でパスを受けると、右サイドを駆け上がった室屋成へスルーパスを供給。これを受けた室屋のクロスからピーター・ウタカの決勝ゴールが生まれた。

 前節の大宮戦に続いて決勝点に絡んだ事実だけを見れば、悲観すべき要素は見当たらない。ただ、この試合全体を通しての出来は決して満足いくものではなかった。

 前半は攻撃が機能しなかった影響もありシュートは0本。前線でパスを受けられず、孤立する場面もしばしば見られた。

 しかしその一方で、スペースが生まれた後半は、中盤に下りて味方からパスを捌きながら攻撃にリズムを加味。こうした働きが、結果的に決勝ゴールへとつながった。

 本人は、チャンスメイクに徹していた事実をこう振り返る。

「神戸は最終ラインの足が遅いから、前に行くと見せかけて中盤に下がると(DFが戻り切れず)ゴール前が空く。それを誰かがやってくれればいいかなって思っていたなかで、自分がやりました」

 相手の弱点を見抜いたうえでのプレーは実に効果的だった。得点シーン以外でも敵の急所を突くようなパスを送り、神戸を受け身に回らせた点は見逃せない。

 それでも大久保は、不満そうな表情を浮かべながらこう続ける。

「走ってばっかりじゃサッカーにならないし。まあ、ああやって簡単に崩れるんですよ。もっと自信をもってやらないと。ゴール前の最後のところで焦ってすぐ蹴ろうと思っちゃうっていうのはどうかなって。勿体ないと思う」

 川崎時代に3年連続で得点王に輝いた大久保にしてみれば、手放しで喜べる勝利ではなかったのも頷ける。フィニッシュワークの精度を欠いたため、ゴール前で自らの特長が十分に活きなかったこの試合では、おそらく相当なストレスを抱えたのではないだろうか。

 もっとできる――。試合後の大久保からは、そんな思いが溢れ出ていた。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)

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