【現地コラム】チェルシーは“悪夢”を見るべくして見た! 王者の黒星発進は自業自得だ

2017年08月14日 山中忍

サポーターは「わかっちゃないない」と主審を責めたが…。

選手へ激しく檄を飛ばしたり、サポーターへ声援を求めるような振る舞いをほとんど見せなかったコンテには、記者陣からも厳しい質問が飛んだ。 (C) Getty Images

 昨シーズンのプレミアリーグ覇者であるチェルシーは、現地時間8月12日にホームで2017-18シーズンの開幕戦に臨んだ。

 
 しかし、わずか14分でキャプテンのガリー・ケイヒルが一発退場となるなど、攻守で歯車が嚙み合わず、昨シーズン16位と格下と言ってもいいバーンリーに2-3で敗れた。
 
 この波乱を見た本拠地スタンフォード・ブリッジでは、約4万人のチェルシー・サポーターがブーイングや、「何もわかっちゃいない」というチャントで、この日の主審だったクレイグ・ポーソンを責め続けた。
 
 たしかに、ケイヒル退場の場面は、悪質な故意のタックルには見えず、開始早々の出来事でもあったことから、審判によってはイエローで済ませていたかもしれない。

 だが、チェルシーの黒星スタートを招いたのは審判ではない。彼らが敗れたのは、自業自得である。
 
 試合後に指揮官のアントニオ・コンテも、「ハーフタイム中に注意して改善を求めた」と発言した通り、チェルシーは10人になった途端に我を見失い、前半で3点も失った。
 
 その最たる例が、終盤の81分に2枚目のイエローをもらって退場者に加わったセスク・ファブレガスだ。ケイヒル退場の2分後に受けた最初の警告は、皮肉を込めた拍手で判定に不服を示すという、全く不必要な行為だった。
 
 キャプテンマークこそケイヒルからセサル・アスピリクエタに渡っていたが、チームの中核を担うセスクは、リーダーシップを発揮して、試合への集中を周囲に促すべきだったというのに……。
 
 もちろん、その責任は指揮官にもある。
 
 選手たちがやるべきことを忘れ、ダビド・ルイスがシュートに背を向けて先制を許し、エヌゴロ・カンテも距離を詰めきれずに追加点を与え、さらにノーマークでのクロスとヘディングで3点目を失うなか、コンテは覚醒を促す指示の声量を増すどころか、ベンチ前で俯いて佇むだけになっていった。
 
 その姿は、テクニカルエリアで一緒に闘う姿が印象的だった昨シーズンとは別人のもののようだった。記者席では、選手の放出が先行し、駒不足のチーム事情に不満を唱えてきたコンテが、「うんざりしているように見える」との意見も聞こえた。
 
 試合後には、20歳の下部組織出身MFジェレミー・ボガがプレミア初出場を果たしたほか、ベンチにも若手5人を置いたメンバー選考に、「何かをフロントに訴えたかったのか?」との質問も飛んだ。それに対し、イタリア人指揮官は「私が選んだ11人に文句があるのか?」と、露骨に苛立ちを見せていた。

次ページバチュアイの先発起用は経営陣への抗議のようにも…。

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